スタンレー電気、粒状面発光リアランプ開発…視認性向上で追突事故リスク低減

四輪車デザイン例
四輪車デザイン例全 5 枚

スタンレー電気は11月18日、後続車からの視認性と安全性の向上を実現した粒状面発光リアランプを開発したと発表した。

【画像】スタンレー電気の粒状面発光リアランプ

夜間の交通事故防止において、後方車両や周囲からの自車両の見えやすさは重要。同社は高い視認性だけでなく、優れたデザイン、さらに環境への配慮を兼ね備えたリアランプの開発を進め、既に量産車に採用されている。

今回、本ランプの視認性について改めて検証を行った結果、先行車両の動きにいち早く気付くことができる「高視認性」による安全性の向上を確認することができた。

本ランプは、従来数十個のLEDを並べていたリアランプの構造を革新し、交換可能な高光束LEDソケット1つのみに集約した。その光を独自設計の導光レンズ(ライトガイド)を通じて広く均一に拡散させる面発光技術と、粒状に煌めかせる技術で、高い視認性を実現している。

さらに、同社が目指すサステナブルな製品として、部品点数の削減による低コスト化と環境負荷の低減を両立した。

安全性向上に向けて、夜間の安全運転には周囲の走行車両の挙動をドライバーがいち早く視認することが重要で、視認の遅れは交通事故につながる恐れがある。特に車体の小さい二輪車は周囲から動きを視認されにくく、右折や合流・Uターン時などに他の車両から衝突される危険性が高まる。

周囲の走行車両は、二輪車のヘッドランプ・リアランプにより車体の動きを判断する必要がある。そこで同社は、周囲のドライバーや歩行者が二輪車の動きを見やすくすることで衝突を回避し、安全性を高めるランプの開発を進めてきた。

粒状面発光テールランプの特長として、視認性向上では人間工学に基づいた光学設計(特殊光学カット付きインナーレンズで煌めきを演出)を採用。本ランプは、ドライバーのわずかな視線の動きに合わせて輝点(小さい光の点)が移動し、気づきやすさを高める構造になっている。

レンズ部は2枚構造となっており、2枚のインナーレンズの両面へ特殊なカットを施すことにより、発光時に美しいキラキラとした粒状の煌めきを実現する。

前を走る二輪車のリアランプが本ランプであった場合、通常のリアランプ(均一面発光ランプ)と比較すると、後方ドライバーによる前方車両の動きの認知が、約2秒早まることを確認できた。これにより追突事故の原因となる急ブレーキ操作を減らすことができ、事故発生のリスク低減につながる。

デザイン性向上では、導光棒×面発光技術による均一な光拡散を実現。横長のランプ全体を安定的に光らせるには多数のLEDが必要だったが、本ランプでは高光束LEDソケットから導光棒へ光を伝える構造を採用。導光棒の背面に独自のカットを施すことで、端まで均一な発光と高い輝度を両立している。

高さ10mmまでの均一発光を実現していた従来の導光棒に対し、今回の開発品では最大30mm高さまで均一に発光させることが可能となった(同社比)。これにより、二輪から四輪車両まで、細さや高さなどさまざまな形状・デザインのランプへの対応が可能となる。

今後の展望として、本ランプは既に量産車向けに採用されているが、より一層の安全性向上を目指し改善・開発を進めながら、さらなる量産採用に向け完成車メーカーへ提案していく。また、自動車インテリア照明など他の車載用途への展開も計画している。

スタンレー電気は1920年に自動車用電球などの特殊電球の製造販売を目的に創業し、現在では世界の主要な四輪・二輪メーカーに製品を提供している。自動車照明以外にも可視光・赤外・紫外の各種LEDやLCDなどのコンポーネンツ製品、電子応用製品で、暮らしの安全安心に貢献している。

《森脇稔》

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