新東工業は11月19日、ボッシュの完全子会社のBosch Business Innovationsが展開するテクニカルセラミック部品の積層造形を専門とする受託製造事業「Bosch Advanced Ceramics(BAC)」を買収したと発表した。
この買収により、新東工業はセラミック製品づくりのグローバル展開を加速させるとともに、BACが進めてきた積層造形によるセラミックの受託製造事業を引き続き展開する新会社「Sinto Advanced Ceramics Europe」をドイツ国内に設立し、2026年1月より事業を開始する。
BACは、スパークプラグにまで遡るボッシュの長年の専門知識を活用しており、2016年に企業内のイノベーション事業として設立された。高精度なセラミック部品の積層造形に特化し、プロトタイプから量産まで対応するカスタマイズ製造を手がけている。
欧米の半導体製造装置メーカーをはじめとする多様な顧客に製品を供給し、高い技術力と提案力で信頼を獲得。近年は医療分野にも進出し、事業の裾野を広げている。
新東工業は「素材に形を与え、いのちを吹き込む」を事業領域として、「形づくり」「素材づくり」「表面づくり」の「3つのつくり」とそれを支える「5つの技術」にフォーカスをあてて事業の進化を図っている。
この「形づくり」において、従来工法では困難だった複雑形状の製造を可能にする積層造形技術は、今後のモノづくりにおける重要なソリューションと位置づけており、同社はセラミックスなど多様な素材を活用した3Dプリンタによる形づくりに挑戦している。
なかでもセラミック市場は、半導体製造装置の需要拡大に加え、医療、通信、エネルギー、SDGs関連分野においても成長が期待されており、今回買収する事業は、「形づくり」をセラミック3Dプリンティングで半導体・電子部品、航空・宇宙、医療、自動車(EV)分野等の成長市場に展開しており、今後のさらなる事業拡大を見込んでいる。
2018年にフランスのセラミック積層造形機メーカーの3DCeram社をグループ化したことを契機に、セラミック製品の積層造形技術の可能性を追求する取り組みを本格化させ、グループ会社の新東Vセラックスでは、従来から得意としてきた大型かつ高精度な構造セラミック部品の製造に加え、積層造形技術を活用した複雑形状の中小物部品や機能性製品へと活動のフィールドを広げている。
今回の買収を契機に、日本・欧州・米国で社名も統一した中核となる製造会社を置き、グローバルな技術連携と先進的な製造技術の融合によるセラミック製品の新たな価値創造を通じて、セラミック事業を拡大していく。




