STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は11月19日、車載用電子ヒューズ保護機能を搭載したハイサイド・スイッチ・コントローラ「VNF1248F」を発表した。
同製品は、ハーネスの保護と柔軟性の向上に向け、高速で先進的なSTの電子ヒューズ機能を搭載することで、省電力かつ高性能な自動車用機能安全システムを可能にする。
「STi2Fuse」ファミリに新たに追加されたVNF1248Fは、従来のワイヤ・ヒューズよりも高速な100μs以内で応答し、柔軟かつ確実な保護により故障が車両内で伝播するのを防ぐ。
新しい容量性充電モード(CCM)機能を内蔵しており、高い突入電流が入った場合でも、大きな容量性負荷を適切に駆動する。さらに、最大600mAの電流供給に対応し、消費電流が75uA未満に抑えた強化スタンバイ・モードにより、駐車モード時の車両効率が高くなり、自律性も向上する。
オプションのロジック用外部電源ピンを使用すると、48Vシステムの消費電力が0.4W削減されるほか、車載用規格のLV124に準拠したバッテリ電圧低下シャットダウンにより、システムの安定性が確保される。
VNF1248Fはさらに、先進的な故障検出と応答、フェールセーフ・モード、リンプ・ホーム・モードといった包括的な専用機能により、ISO 26262機能安全アプリケーションにおける高い安全性レベル(ASIL)への対応を容易にする。
また、内蔵の自己テスト機能(BIST)による自動診断も可能であり、マイクロコントローラが故障した場合に備え、外部MOSFETゲートをハードウェアで直接制御する専用ピンもある。
VNF1248Fは、12V、24V、48Vのボードネットに適しており、車両の電気系ゾーンアーキテクチャにおける配電を扱い、一般的なヒューズとリレーを置き換える。また、ECUメインスイッチとしての使用や、駐車モード時の常時オン回路用のアクティブな電源としても使用することができる。
ワイヤ・ハーネス保護とダイナミックな配電を実現するSTのSTi2Fuseスマート・スイッチ・ファミリに加わったVNF1248Fは、ホスト・マイコンとの通信用SPIポートを搭載している。SPI経由で製品を設定することで、従来の外部プログラミング機器が不要になるほか、困難な短絡(HSC)ラッチオフや、ヒューズ・エミュレーションにおける時間対電流のラッチオフ、MOSFET不飽和シャットダウンなどの設定を柔軟に制御できる。
不揮発性メモリ(NVM)も内蔵しているため、不変のデフォルト設定を追加で格納でき、フェールセーフ状態やロック状態でも一貫性のある動作を保証できる。
評価ボード「EV-VNF1248F」は、事前に組み立てられており、負荷や電源、マイコンに直接接続することができる。これにより、STのインテリジェントなヒューズ保護機能を試作段階の回路に簡単に集積できる。
また、ソフトウェア・パッケージ「STSW-EV-VNF1248F」も入手可能で、グラフィック・ユーザ・インタフェースと制御ファームウェアを備えているため、「EV-SPC582B」マイコン・ボードを使用してVNF1248Fを設定およびモニタすることができる。
VNF1248Fは現在量産中で、QFN32パッケージ(32ピン、5 x 5 mm)で提供される。単価は、1000個購入時に約2.63ドルである。




