【ドゥカティ ムルティストラーダV2 試乗】ライダーに寄り添う進化を果たした、ドゥカティの“新章”…小川勤

ドゥカティ ムルティストラーダV2S
ドゥカティ ムルティストラーダV2S全 43 枚

◆前モデルから18kgの軽量化。足つきに悩まないムルティストラーダV2S

新型『パニガーレV2』に試乗して「ドゥカティの新たなる章の始まり」を実感した筆者(小川勤)は、同エンジンを搭載し前モデルから大幅な軽量化を果たした『ムルティストラーダV2』や『ストリートファイターV2』に大きな期待を抱いていた。「軽いバイクを作る」と決めたドゥカティの決断は、それだけセンセーショナルだったのだ。

【画像】ドゥカティ ムルティストラーダV2S

パニガーレV2とストリートファイターV2は120psの同じVツインエンジンを搭載するが、ムルティストラーダV2は1&2速のミッションをショート化し、フライホイールも重くした115.6psのエンジンを搭載。エンジンキャラクターをスポーツよりもツーリングユースに特化させている。

ドゥカティ ムルティストラーダV2Sドゥカティ ムルティストラーダV2S

また、ラインナップは2機種。電子制御式のドゥカティ・スカイフック・サスペンションを搭載した「ムルティストラーダV2S」(230万7000円)と機械式サスペンションを搭載したスタンダードの「ムルティストラーダV2」(199万4000円)を用意する。

日本仕様は全車ローシート&ローサスペンションが標準となり、シート高は2段階に変更可。さらにSは電子制御サスペンションに装備されるミニマムプリロード機能を搭載。これは停車時や低速時にリヤサスのプリロードを最弱にしてシート高を8mm下げられる機構だ。

ムルティストラーダV2は、パニガーレV2同様に前モデルから大幅に軽くなっており、スタンダードモデル同士の比較では前モデル比18kgの軽量化を実現。まるで別のバイクに生まれ変わったと言っていいだろう。

ライダーは身長165cm、体重68kg。写真のポジションは、シートの低い状態(790mm)+ミニマムプリロード機能(−8mm)を使った状態ライダーは身長165cm、体重68kg。写真のポジションは、シートの低い状態(790mm)+ミニマムプリロード機能(−8mm)を使った状態両足で支えるのでなく、片足でしっかり支えれば、シートが高い方(810mm)でも不安はなかった。両足で支えるのでなく、片足でしっかり支えれば、シートが高い方(810mm)でも不安はなかった。

今回はムルティストラーダV2Sに試乗。まずはシートを低い方(790mm)にセット。ミニマムプリロード機構をオンにすると車高が8mm下がる。大柄なライダーにはほとんど感じない差かもしれないが、小柄なライダーにとってこの8mmはありがたく、足つきに一切不安はない。

アドベンチャー特有の大きさや重さがどこにもないことは、跨ったり取り回しをしたりするとすぐに伝わってくる。

◆様々な電子制御から好みやシーンに合わせてバイクを仕立てる

ドゥカティ ムルティストラーダV2Sドゥカティ ムルティストラーダV2S

ムルティストラーダV2Sの特徴は電子制御の充実だ。ライディングモードは「ダイナミック」「コンフォート」「ローグリップ」「オフロード」があり、ライディングモードと連動しないサスペンションのモードは「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」「エンデューロ」「ウエット」を用意。

キャリア、シチュエーション、天気、さらにタイヤの状況や銘柄によってもモードの組み合わせは変わり、その時々において自分の理想のバイクに仕立てることで楽しさが倍増するのだ。今回は未登録車だったため、サーキットでテスト。最初は「ダイナミック」×「スポーツ」の組み合わせで走り出すことにした。

ドゥカティ ムルティストラーダV2Sドゥカティ ムルティストラーダV2S

前19、後18インチが生み出すハンドリングは馴染みやすい特性。ただし、ペースを上げていくとかなりリヤ下がりに感じる。これは日本仕様特有の症状だろう。サスペンションを柔らかめの「アーバン」にするとさらにその傾向は強まる。しかし、ムルティストラーダV2Sは、フレキシブルな特性のフレーム&スイングアームの採用で、とても身近な存在になっている。動きが機敏でバイクとライダーの一体感も得やすい。

エンジンは扱いやすく、ギクシャク感も少ない。立ち上がりでスロットルを大きく開けると、ドゥカティ特有の不等間隔爆発が後輪のグリップの作りやすさを生み、気持ちの良い鼓動と共に軽い車体をスピードに乗せていく。モードはスロットルを開けた際のレスポンスの好みで選ぶといいだろう。

◆足つきの悩みがないならオプションのハイシートもお勧め

ドゥカティ ムルティストラーダV2Sドゥカティ ムルティストラーダV2S

次にシートを高い方(810mm)にセットして走ってみる。するとリヤ下がり感は解消され、前輪荷重が自然と増えるイメージ。フロントフォークの動き、そして前輪のグリップ感がわかりやすく、より安心感を持って走れるようになった。

シートを高い方にしても、パニガーレV2Sのシート高(837mm)より低く、キャリアのあるライダーであれば問題ないだろう。ちなみにオプションのハイシートは810mmと830mmの2段階が可能になるため、足つきを気にしないライダーはハイシートへの交換がお勧めだ。

モード変更しながら走り込むと、電子制御が様々なシーンでライダーをサポートしてくれているのがわかる。新しく搭載されたV2エンジンの可変バリアブルタイミングは、パニガーレV2Sよりも高いギヤ&低い回転を多用したいムルティストラーダV2Sでこそ恩恵が大きい。クイックシフトも快適だ。加減速で駆動が途切れないため、バイクに余計なピッチングが起きにくい。

ドゥカティ ムルティストラーダV2Sドゥカティ ムルティストラーダV2S

サスペンションの「アンチダイブ」や「アンチスクワット」制御は、多くのシーンで車体姿勢を理想に保つ、もしくは理想に導いてくれる感覚があり、ライダーが不安に感じる要素を排除。こういったサポートの連続が、安心や安全に繋がっているのは間違いなく、これがツーリング時のストレスや疲労を大幅に軽減してくれるに違いない。

新型ムルティストラーダV2Sは、パワーなどのスペックを向上させるのでなく、ライダーに寄り添う進化を果たした。これが「ドゥカティの新たなる章の始まり」を実感させる。このアドベンチャーとしてとても正しい進化を体感すると、同エンジンを搭載したストリートファイターV2にも俄然興味が湧いてくる。

ドゥカティ ムルティストラーダV2Sドゥカティ ムルティストラーダV2S

また、ドゥカティジャパンのWEBサイト内のコンフィギレーターでは、新型ムルティストラーダV2Sの「スポーツ」「エンデューロ」「ツーリング」「アーバン」の各アクセサリーパッケージも用意され、好みや用途に応じてムルティストラーダV2Sのキャラクターをさらに特化させることも可能だ。

新型ムルティストラーダV2Sで新たなるアドベンチャーライフ&ドゥカティライフをスタートさせてみてはいかがだろう。

小川勤氏とドゥカティ ムルティストラーダV2S(左)&パニガーレV2S(右)小川勤氏とドゥカティ ムルティストラーダV2S(左)&パニガーレV2S(右)

小川勤|モーターサイクルジャーナリスト
1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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