トヨタ自動車のブラジル部門は、ブラジル初のフレックス燃料に対応したハイブリッド車、『ヤリスクロス』を発表した。日本仕様のヤリスクロスよりも、ひと回り大きいモデルだ。
フレックス燃料車とは、ガソリンにバイオエタノールを混ぜた燃料で走行できる自動車を指す。ブラジルの新車市場で大きな人気を得ている。トヨタはフレックス燃料に対応したハイブリッドシステム、「ハイブリッドフレックスフル」を開発した。
ブラジル向けヤリスクロスは、XRE、XREハイブリッド、XRX、XRXハイブリッドの4グレードで展開される。すでに予約販売を開始しており、2026年2月から最初の顧客への納車が始まる予定だ。同時期にブラジル全土のディーラーネットワークでも販売を開始する。
ソロカバ工場で生産されるヤリスクロスは、コネクテッドサービスパッケージを標準装備し、最長10年の保証を提供する。メンテナンスコストはクラス最安で、最初の6回の定期点検は各549レアルとなっている。
ヤリスクロスの投入により、トヨタはSUVセグメントでの存在感を強化する。ブラジル市場では2025年累計でSUVが市場の50%以上を占めており、同モデルは『カローラクロス』、『SW4』、『RAV4』に続くラインアップとなる。
『ヤリス』は世界で1000万台以上、ブラジルで30万台以上を販売してきた実績を持つ。ヤリスクロスは、既存顧客の維持、離れた顧客の呼び戻し、新規顧客の獲得を目指す。
ハイブリッドフレックスフルの搭載はブラジル市場で初めてとなる。ヤリスクロスは市街地での俊敏な走りと低燃費を両立し、ブラジル国家計量標準化品質院のプログラムによると、市街地で最大17.9km/l、高速道路で15.3km/lを達成。ブラジル国内のコンパクトSUVで最も経済的なモデルとなった。
XRXハイブリッドとXREハイブリッドには、1.5リットルフレックスエンジンを搭載。2つの電気モーター(発電機と駆動用)と組み合わせることで、静粛性の高い走行と優れたエネルギー効率を実現する。エタノール使用時の総合出力は最大111hpだ。
ハイブリッドトランスアクスルCVTと組み合わされたハイブリッドシステムは、エンジン負荷に応じた滑らかな加速を提供し、効率を最適化する。トヨタのハイブリッドフレックス技術は、非電動化モデルと比較して燃料消費を最大30%削減し、エタノール使用時にはガソリンと比べてCO2排出量を77%削減する。
XREとXRXグレードには1.5リットルフレックスエンジンを搭載し、最高出力122hp/6000rpm、最大トルク15.3kgfm/4800rpmを発揮する。トランスミッションはマルチドライブCVTで、ステアリング背面にパドルシフトを装備し、よりダイナミックな運転が可能だ。
全長4.31m、全幅1.77m、全高1.65m、ホイールベース2.62mのボディサイズを持つブラジル向けヤリスクロスは、広い室内空間、多用途性、ラゲッジ容量でコンパクトSUVの基準となる。
室内は快適性と日常の機能性を重視して設計され、ダッシュボードとドアにはステッチ入りのソフトタッチ仕上げを採用。大型パノラマルーフが明るく開放的なキャビンを演出し、全乗員の快適性を高めている。
エクステリアデザインは、都市部での使用を考慮しつつ、週末のアドベンチャー精神を表現する要素を組み合わせた。ソリッドダイナミックのコンセプトは、堅牢性と流動性を融合させ、存在感のあるスタイリングを実現している。
全グレードに6つのエアバッグ(フロント2、サイド2、カーテン2)、ホールド機能付き電動パーキングブレーキ、チャイルドシート固定用ISOFIX、EBD付きABS、横滑り防止装置(VSC)、トラクションコントロール(TRC)、ヒルスタートアシスト(HAC)を標準装備する。
XREとXREハイブリッドには、LEDヘッドライト、17インチダイヤモンドカットホイール、スマートエントリーシステム、デジタル自動エアコン、10インチディスプレイのトヨタプレイ2.0マルチメディアシステム(アップルカープレイとアンドロイドオートのワイヤレス接続対応)、プレミアム素材のシート、ワイヤレス充電器、7インチTFTディスプレイのデジタルメーター、LEDフォグランプ、バックカメラ、リア駐車センサーを装備する。
最上位グレードのXRXとXRXハイブリッドには、18インチダイヤモンドカットホイール、アンビエント照明、ブラインドスポットモニター(BSM)、360度パノラマビューシステム(PVM)、フロント駐車センサー、キックセンサー付き電動テールゲート、トヨタコネクテッドサービス、パノラマサンルーフが追加される。




