日産、国内初のカルコパイライト太陽電池を販売店に導入…神奈川県で実証実験

日産神奈川販売のR1東戸塚店
日産神奈川販売のR1東戸塚店全 5 枚

日産自動車は、神奈川県が実施する「次世代型太陽電池普及促進事業」の採用を受け、日産神奈川販売のR1東戸塚店で自動車販売店として国内初となる次世代型の「カルコパイライト太陽電池」の実証実験を開始した。

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神奈川県相模原市のPXPが開発した「カルコパイライト太陽電池」は、厚さ約0.6mm、重量0.7kg/平方mと軽量で、曲面にも追従できる柔軟性を持つ。この特性により、従来のシリコン系では難しかった壁面や円柱などへの設置が可能だ。

R1東戸塚店では、この太陽電池を店舗インフラへ初めて導入し、実際の生活空間でどのように活用できるかを検証する。神奈川発の技術を、地域の店舗を通じて実生活へ実装する事例として取り組みを進めている。

今回の事業では、カルコパイライト太陽電池の特性を活かした設置と、発電した電力を来店した顧客に「見て・使って・理解する」体験をしてもらうことに取り組んでいる。これは神奈川県が実施する「再エネの見える化・普及啓発」の目的に合致した生活者参加型の実証モデルだ。

来店した顧客が実際に発電した電力を体感できる点が特徴のひとつ。カルコパイライト太陽電池で発電した電力は、店内ディスプレイの発電量表示や自動販売機の使用電力、スマートフォン充電器などに活用。発電の仕組みを体感できる「見える再エネ店舗」を実現した。

カルコパイライト太陽電池は、「薄く、軽く、曲げられる」という特性を備え、シリコン系では難しかったガラス面や曲面への設置を可能にする。この特性を活かし、ガラス面だけでなくキャノピー柱のような円柱形状にも展開。丸みを帯びた形状への設置は県内初の試みであり、研究段階を超えて、店舗インフラの中で再エネをどう実装するかを検証するフェーズに踏み出した取り組みだ。

日産は2050年までに、事業活動からクルマのライフサイクルまで含めたカーボンニュートラルの実現を掲げている。日産販売店においても再生可能エネルギーの活用を促進し、クリーンな電力の使用を推進していく。今回の実証実験を通じて、太陽電池の設置場所や活用範囲を確認し、将来的に環境配慮型店舗の導入に繋げ、顧客に次世代型太陽電池の先進性と日産の環境への取組みを伝えていく。

その取り組みのひとつとして、2025年10月から実質再生可能エネルギー100%の「日産でんき」の家庭向けメニューを、沖縄・離島を除いた全国へ展開しており、日本全国の顧客にもクリーンな電力を身近に感じてもらえる環境づくりを進めている。

また10月から日産グループの販売会社や取引先などを対象とした法人向けの高圧電力事業も開始した。実質再生可能エネルギー100%「日産でんき」を家庭や法人に届け、社会全体のCO2削減に貢献している。R1東戸塚店においても、「日産でんき」の法人向け高圧電力を導入しており、自家発電も取り入れた電力100%カーボンニュートラル店舗として運営をしている。

さらに日産はEV(電気自動車)を通じて走行時のCO2排出ゼロを実現するなど、クルマ自体の環境負荷低減にも継続的に取り組んでいる。店舗インフラ・電力供給・EVといった複数の側面から脱炭素を進めることで、地域とともにCO2削減と再エネ普及に貢献していく。

本事業は、神奈川県、県内太陽電池メーカーである株式会社PXP、日産の三者が連携し、地産技術を地域の生活環境に活かす取り組みとして実施されている。今後は発電量データの分析を行い、効果的な活用方法などの検討に繋げていく。また、県民への情報発信を通じて、「見える脱炭素」の推進を図っていく。

《森脇稔》

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