フォルビア・ヘラ(FORVIA HELLA)はアグリテクニカ2025において、農業機械向けの革新的な運転支援システムを初公開した。
同社はトラクターのミラーにレーダー式左折アシストシステムを完全統合した製品を世界で初めて発表。このシステムは2026年後半から欧州の顧客向けに納入される予定だ。
農業機械が道路交通で事故を起こす最も一般的な原因の一つが、左折時に追い越し車両と衝突することだ。農道から畑に左折する際、後続車両が追い越しを開始するケースが多く、重大事故につながることがある。
ドイツ保険協会の2023年の調査によると、農業トラクターが関与する事故の13%以上が左折・横断時に発生しており、これらの事故の19%が重傷または死亡事故となっている。
フォルビア・ヘラの新しい運転支援システムは、最大80m先の追い越し車両を検知し、早期にドライバーに警告する。統合されたレーダー技術により、従来の外部ミラーをスマートな安全アシスタントに変える仕組みだ。
システムが死角に車両を検知すると、ミラーに明確な警告信号が表示される。フォルビア・ヘラのライフサイクル・ソリューション事業部門でエレクトロニクス製品マネージャーを務めるダニエル・ヴィーペン氏は「農業機械の安全性を持続的に向上させることが目標だ。自動車業界で実績のある運転支援システムを農業分野に初めて導入し、すべての道路利用者の保護に新たな基準を設定する」と説明している。
この革新的な運転支援システムのアイデアと開発はフォルビア・ヘラが担当した。技術的な実装は、スペインのバルセロナを拠点とする車両ミラーと運転支援システムの大手サプライヤー、フィコサが担当している。
フィコサはインテグレーターとして、既存のミラー構造にレーダー技術をシームレスに統合する役割を果たした。両社の協力は開発パートナーシップの枠組みで行われ、レーダー技術と車両統合の分野における両社のノウハウが結集された。
システムはモジュール式でスケーラブルであり、メーカーに依存せず、新しい車両プラットフォームに容易に統合できるため、農業分野で幅広く適用可能だ。




