日置電機、チップ抵抗器の量産ライン向け直流抵抗計を発売…タクトタイム76%短縮

抵抗計 RM3542C
抵抗計 RM3542C全 1 枚

日置電機は、チップ抵抗器やチップフェライトビーズなど受動部品の量産ラインにおける高速・安定判定を実現する直流抵抗計「RM3542C」を発売したと発表した。

同製品は、自動量産設備への組み込みを想定し、信頼性と使いやすさの最適なバランスを実現している。厳格な品質検査を実現するため、工程間での抵抗変化を自動で比較するΔR機能や高速な選別・グレーディング(製品ランク分け)のためのBIN判定機能を搭載している。

新開発のジャンパモードにより、代表条件におけるタクトタイムを従来比で約76%短縮し、3.8msから0.9msへと高速化した。これらの機能を活用することで、信頼性の高い安定した検査を維持しながら、スループットを飛躍的に向上させることが可能となった。

世界の電子情報産業の拡大は加速を続けており、生産高は2024年に9%増、2025年に8%成長し、3兆4909億ドルに達すると予測されている。スマートデバイスや車載・産業機器の需要回復が進む中、検査工程では処理能力と判定基準の平準化が一層重要になっている。

同時に、0201等の極小チップ抵抗器やチップフェライトビーズの採用が拡大し、検査ラインでは極めて短いタクトタイムで高い精度を維持できるインフラが求められている。また、現場の多拠点・多工程化が進む中で、設備や環境の差による測定オフセットが発生し、特に生産立ち上げ時やライン切り替え時に判定基準の揺らぎの原因となる可能性がある。

RM3542Cは、このような課題を解決するために開発された。測定、判定、工程間ばらつき管理を1台のRM3542Cで行うことができる。高速ΔR比較と自動グレーディングを内部で行うことにより、外部PCへの依存を減らして通信による待ち時間(レイテンシ/通信遅延)を最小限に抑えることができ、すべての生産工程で安定・高スループットかつ一貫した品質を保証する。

主な特徴として、ジャンパモードにより高速測定レンジへ自動設定し、測定タクトを3.8msから0.9msに短縮、スループットを約76%高速化した。この改善により、ジャンパ抵抗検査におけるボトルネックを解消し、量産ライン全体の効率を高める。

RM3542Cは、検査対象を最大7つのBIN(グレーティング・選別区分)で判定する。機器内部で判定した結果をI/Oで即座に出力する。外部PC処理や通信遅延をなくすことで、時間制約の厳しい自動化ラインでも安定した高い生産効率を維持できる。

ΔR機能は、異なるステージやラインの抵抗値を自動で比較し、定格電圧の印加によって生じるわずかな変化を検出する。「コンパレータ×ΔR」のデュアルチェックにより、より厳しい品質スクリーニングが可能となるため、高精度チップ抵抗器やフェライト部品の信頼性確保に最適という。

プリセット(事前設定登録)呼び出し、ステージ入れ違い防止、印加電圧を5V以下に抑えた検査対象への負荷が少ない測定、コンタクトチェックの各機能により、セットアップ時やメンテナンス時の人的要因によるミスを最小限に抑え、測定対象に最適化した条件で信頼性の高い検査を高稼働率で継続する。また、RM3542Cは産業環境のEMC規格にも適合しており、生産現場での安定した長期運用を実現する。

主な用途は、チップ抵抗器生産ラインでの高速合否判定とグレーディング、チップフェライトビーズやインダクターの工程内検査とサンプリング、テーピングマシン(自動選別・分類装置)との連携による全数検査の効率化などだ。

《森脇稔》

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