横浜ゴムが協力会社として参画する国際共同研究「ゴムノキ葉枯れ病防除のための複合的技術開発」の成果が12月9日、インドネシア大学で開催された会議で発表された。
本研究は天然ゴムの持続可能な生産・利用を目指すもので、外務省と文部科学省の支援のもと、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)が共同で実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の研究課題に採用されている。
日本の研究機関と世界第2位の天然ゴム生産国であるインドネシアの研究機関による産官学体制で実施される国際共同研究だ。タイヤの原材料を含め工業的に使われているほとんどの天然ゴムはパラゴムノキから作られているが、現在インドネシアを中心に葉枯れ病の感染が拡大し、ゴム生産に深刻な被害を与えている。
本研究では殺菌剤による葉枯れ病菌の駆除と病害に耐性をもつクローンの育種基盤構築、人工衛星やドローン画像による感染地域の早期検出といった多角的なアプローチにより、インドネシアの天然ゴム生産の90%以上を担う小規模農園での生産安定化を目指している。
横浜ゴムはプロジェクトが立ち上げられた2020年より協力会社として本研究に参画し、2024年からはスクリーニングにより選定された殺菌剤が天然ゴムの品質に与える影響の調査を開始した。
すでに大規模農園でのフィールド評価において、適切に散布・使用すれば殺菌剤がゴムの特性および加硫物性に影響を及ぼさないことが確認できており、現在は本研究がターゲットとする小規模農園での影響調査に協力している。
同社は「持続可能な天然ゴムの調達方針」の中で、小規模農家を含むサプライチェーンに関わる方々への支援を掲げており、本研究への参画により、天然ゴムの生産および農家の収入の安定化に貢献する。
なお、SATREPSの研究課題では天然ゴム種子の有効利用により環境問題解決を目指す「未利用天然ゴムの種の持続的カスケード利用による地球温暖化およびプラスチック問題緩和策に関する研究」にも連携機関として参画している。
横浜ゴムはサステナビリティ・スローガンとして「未来への思いやり」を掲げ、事業活動を通じた社会課題への取り組みにより、共有価値の創造を図っている。




