注目の125ccスクーター2台をガチンコ比較!「静粛」のアクシスZか?「快活」のアドレス125か?

スズキ アドレス125(左)とヤマハ アクシスZ(右)
スズキ アドレス125(左)とヤマハ アクシスZ(右)全 65 枚

なにかと便利な125ccスクーター。今回はヤマハ『アクシスZ』とスズキ『アドレス125』を比較試乗。いずれのモデルにも、このクラスのスタンダードモデルとしての工夫が散りばめられており、どちらがどんなユーザーに向いているのかを検証してみた。

【比較画像】スズキ アドレス125とヤマハ アクシスZ

◆「アクシスZ」&「アドレス125」スペック比較

ヤマハ アクシスZ(左)とスズキ アドレス125(右)ヤマハ アクシスZ(左)とスズキ アドレス125(右)

両モデルの間にある、主なスペックの差が下記の通りだ。

●アクシスZ/アドレス125
・車重:100kg/108kg
・全長:1790mm/1880mm
・軸間距離:1275mm/1260mm
・シート高:770mm/770mm
・フロントタイヤ:100/90-10/90/90-12
・最高出力:8.3ps/7000rpm/8.4ps/6500rpm
・最大トルク:1.0kgf・m/5000rpm/1.0kgf・m/5000rpm
・シート下容量:約37.5l/24.4l
・フロント収納:1個/2個
・USBソケット:なし(アクセサリー設定)/タイプA
・燃料タンク容量:5.5l/5.3l
・燃費(WMTCモード):51.9km/l/53.4km/l
・価格:28万3800円/28万500円

◆エンジンの静粛性と走行フィーリング

ヤマハ アクシスZヤマハ アクシスZ

パッと乗って、まず印象的なのが静粛性の違いである。「ノーマルのスクーターに音量の差なんかある?」と思われるかもしれないが、アクシスZははっきりと静かだ。ヤマハがこのクラスのスクーターに例外なく採用するSMG(スマートモータージェネレーター)が抜群の効果を発揮。セルスターターを押した時の「キュルキュル、ボン」がないため、集合住宅の駐輪場から早朝に出発するようなシーンでも気遣いが最小限で済み、走行中の音質も耳に優しい。

もちろん、アドレス125も単体で評価すればうるさい部類ではないが、直接比較すると、音が粒立ち、鼓動感も大きい。視点を変えると、これがスポーティさに一役買っている。適度に響くサウンド、その時に体に伝わるバイブレーション、エンジンとCVTの過渡特性がバランスよくリンクし、アクシスZよりワンテンポ早くスピードが上昇。最後のひと伸びも上回っている。

スズキ アドレス125スズキ アドレス125

アクシスZのエンジンが「粛々」だとすると、アドレス125は「キビキビ」と評してよく、ハンドリングも同様だ。印象としては、前後に10インチホイールを採用するアクシスZが機動力重視かと思いきや、車体がリーンする時の振る舞いはアドレス125の方が機敏に反応。全体的にソフトな味つけのアクシスZに対し、アドレス125はかっちりとした剛性感を伝えてくる。

ならば、引き起こしや取り回しでも、アドレス125が軽やかかといえば、ここでは立場が逆転し、アクシスZの取り扱いの方が断然楽だ。8kg軽い車重もさることながら、燃料タンクをフロアボード下に置く(=重量物が低い位置にある)アクシスZは、数値以上に押し引きが容易で、センタースタンドを掛ける時も、なんのコツも要さない。

◆足つきは同点、乗り降りは好みが分かれる

スズキ アドレス125スズキ アドレス125ヤマハ アクシスZヤマハ アクシスZ

乗降性は一長一短といったところだ。シート高は、両モデルとも770mmと同じ数値を公称する。足つき性自体は、座面が柔らかく、そのサイド部分がなだらかなアクシスZの方が少しいいが、降ろした足をフロアボードに戻す時の乗せやすさは、アドレス125が勝る。

既述の通り、アクシスZは燃料タンクを足元に収めているため、地上からフロアボードまでの距離がアドレス125よりも高く、なおかつボードが前側に傾斜(=後ろ側が高い)していることもあって、足を上げる量が大きくなるからだ。

極めて地味な差異ではあるが、アドレス125の感覚で足を上下させると、アクシスZでは時にシューズが引っかかることがある。ただし、乗せてしまえば、足を前に投げ出せる自由度が確保されるなど、有利と不利が混在する評価項目と言える。

◆収納力と積載性の違いは

スズキ アドレス125スズキ アドレス125ヤマハ アクシスZヤマハ アクシスZ

収納スペースを比較すると、シート下に関してはアクシスZが圧勝する。13リットル以上の容量差に加えて、前後方向に長いため、60cm前後の長尺物(ねぎや大根だったり、シュラフだったり)も余裕。アドレス125にその器はない代わりに、フロントに2個のポケット、足元の前後にも2個のフックを備え、小物やちょっとした袋類の運搬に便利だ。もっとも、筆者所有のジェットヘルメットだと、どちらもシート下には収まらず、ヘルメットホルダーを活用することになる。

アクシスZにもアドレス125にも、右のブレーキレバーを握ればフロントブレーキが作動し、左を握ればリアだけでなく、フロントにも効力が配分される前後連動ブレーキが採用されている。これに関してはどちらが優位ということもない。左のブレーキレバーを強く握った時、減速度がほぼ一定なのがアクシスZで、あるレベルからフロントの仕事量が増えるのがアドレス125だ。アクシスZのリニアさか、アドレス125のメリハリかは、好みによる。

給油に関しても同様だ。目視による満タンが若干わかりづらいものの、座ったままでも入れやすい位置にあるのがアクシスZ。車体後部にまわる必要があるが、開口部が大きくて見やすく、4輪的な構造になっているのがアドレス125という違いがある。

ヤマハ アクシスZヤマハ アクシスZ

◆ここが惜しい、ここが光る細部

最後に、こうしたあれこれ以外の〇と×をランダムに挙げておこう。アクシスZのグリップは単なる円筒ではなく、微妙な樽型になっていて(しかもYAMAHAのロゴ入り)、これの握り心地と操作性が好ましい。

一方、これは難癖に近いが、タンデムステップを収納状態から引き出す際、一回押し込むとパチンと出てくるプッシュラッチ式が採用されている。

ヤマハ アクシスZヤマハ アクシスZ

美しくデザインされたステップにふさわしい仕組みだが、元に戻す時の力加減が繊細で、なにげなく操作すると、一回で収納されることなく、かなりの確率でまた飛び出してきてしまう。125ccスクーターの使われ方を想定すると、もっとガサツでもいいと思う。

アドレス125の方は、なにより幅広い用途に対応するリアキャリアの存在が頼もしい。一方、これは前回の試乗記でも指摘したが、せっかく備わっているブレーキロックレバー(≒パーキングブレーキ)の操作性に難があり、もう少し軽い力で、もしくは簡単な操作で機能することを望みたい。

スズキ アドレス125スズキ アドレス125

◆重視するポイントによる選び分け

ここまで書き連ねてきたことを踏まえると、静粛性と収納力と取り回しの軽さならアクシスZに、走りのよさと気の利いた利便性ならアドレス125に、それぞれ優位なポイントがあった。

シート下の収納量が最優先にして絶対という条件ならアクシスZが問答無用の選択肢だが、モデルチェンジを受けたばかりのアドレス125の乗り味と機能にはフレッシュさがあり、それでいて、わずかとはいえ、アクシスZよりも安いという点も見逃せないポイントになる。

スズキ アドレス125(左)とヤマハ アクシスZ(右)スズキ アドレス125(左)とヤマハ アクシスZ(右)

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ピックアップトラックの荷台に、積載型キャンピングキャビン「INFINITY 01」発表…Moon Star Export
  2. スズキ、『ジムニー シエラ GOZEL』初公開へ…6月14日「ジムニーサンライト2026」
  3. 日産『プリメーラ』、EVで約20年ぶりに復活…フィリピンモーターショー2026
  4. 8月から車検が変わる…ヘッドライトの「黄ばみ」に注意! DIYよりプロに相談
  5. ホンダ『シビック』など3万6000台以上をリコール…走行中にエンジン停止のおそれ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ホンダ「2026ビジネスアップデート」…次世代HV15車種投入、2029年度営業利益1兆4000億円
  2. インモールドコーティングコンソーシアム設立、型内塗装の国内普及めざす…武蔵塗料と岐阜多田精機
  3. ダイフク、520億円の成長投資でマザー工場再開発とドイツ企業買収…2030年に売上高1兆円へ
  4. ボルボカーズ、2028年以降の車両にアプティブのGen 8レーダー採用へ…悪天候や複雑な市街地でも高精度センシング
  5. 中国勢にも対抗する競争力のあるSDV開発に必要なものとは…アステモサイプレモス 木村篤仁氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る