【BMW 2シリーズグランクーペ 新型試乗】今、日本にちょうどいいBMW…中村孝仁

BMW 220dグランクーペ
BMW 220dグランクーペ全 40 枚

つい先日、同じエンジンを搭載するBMW『120d』に試乗した。何も変わっていないはずのエンジンが、やたらとスムーズで静かになっていて驚かされた。

【画像】BMW 220dグランクーペの内外装

『220dグランクーペ』も、120dと同じ、B47というコードネームを持つエンジンを搭載している。このエンジン、公式には何らアナウンスされていないのだが、どう考えても(勝手に)、どこかいじっているに違いない(と思う)。

例によって、汐留駅からすぐのBMW広報車の受取場に行って、クルマを受け取ってメーターを見て驚いた。もちろん燃料を満タンにした結果ではあるけれど、可能走行距離は、何と1144kmと表示されているではないか。1000kmの表示はどこかで見た記憶があるのだが、1100km越えはたぶん初めてである。音も静かになってスムーズで、さらに抜群の燃費となれば、これに文句をつける人はまずいないと思う。

それだけではない。「グランクーペ」という名前を持つが、このクルマ、サイドビューを見ると、まさにクーペ風。この手のクルマは多くの場合、リフトゲートがついているのだが、グランクーペは独立したトランクを持つ。だから、クーペ風ではあるが、4ドアセダンである。

◆日本市場にとってまさにちょうどよいBMW

BMW 220dグランクーペBMW 220dグランクーペ

具合が良いのはそのサイズ。近年、クルマはとみにサイズの大型化が目立つ。F1を例に挙げるのはお門違いかもしれないが、60年代のF1と現代のF1を比べてみると、倍とは言わないまでも、それに近いサイズの拡大があって、伝統あるモナコグランプリでは、まず追い抜きが不可能となった。一般車両の場合、側面衝突に対する規制に対処するため、全幅が顕著に大型化している。

1700mmを超えたら3ナンバーという日本の車両規則は、事実上有名無実。だから、日本は厳密に車両サイズが規制される軽自動車に人気があるのだと思う(ほかの要素の方が大きいか)。2シリーズ、グランクーペは全幅が1800mm。日本では3ナンバー化した後、徐々に車幅を拡大していったトヨタ『クラウン』が、最後まで頑なに守り通した車幅である(最新モデルはタガが外れたが)。

BMW 220dグランクーペBMW 220dグランクーペ

日本の大御所のクルマが守り通した車幅、つまりは誰もが許容できる限界値、とでも言おうか。これはまさに、日本の道路環境あるいは駐車スペースにおいて、ちょうどよいサイズと理解している。もちろん海外に目を向けるとそうはいかないのかもしれない。でも、今となってはすっかりコンパクトという表現が相応しいこのサイズは、日本市場にとってまさにちょうどよいBMWなのではないかと思う。

そんなわけだから、さすがにインテリアの居住空間は決して広いとは言えない。でも今回、短距離ながら(とはいえ30分ほどの距離)無理をして5人乗りに挑んだが、後席3人乗り(普通サイズの大人男性)の誰からも、不満らしきものは出なかった。だから、いざという時には使えるということ。一人が子供なら全く問題はない。

◆セダンならではのボディ剛性が効いている

BMW 220dグランクーペBMW 220dグランクーペ

エンジンとトランスミッションの組み合わせは、まさに120dと同じで、このクルマにもトランスミッションは7速のDCTが採用されているが、今やこのDCTもステップATと選ぶところが無いほどに進化している。

ドイツのメーカーがこのサイズのクルマに積極的にDCTを採用する背景は不明だが、ハウジングのサイズ感、あるいは効率の良さ、さらにはコストの問題など、諸事情で使われているのだと思うが、ここまでくればステップATの方が絶対に良いとは言えない。今回は特に渋滞を全く経験できなかったこともあるので、ネガ要素が出なかったということもあるだろうが、もはや四の五の言うレベルではない気がする。

BMW 220dグランクーペBMW 220dグランクーペ

直前にハッチバックの1シリーズに乗っていたから、両車の比較ができたのだが、やはりテールゲートを持たないセダンのボディ剛性は、確実にハッチバックよりも優れていると感じた。ともにMスポーツであったから、ややハードめの足回りを持っていて、120dだと、ボディがその受け止めに、少しだけマイナス要素があるようで、突き上げ感が感じられたのだが、確かに足はハードな印象が強いものの、2シリーズではその突き上げ感はほぼ感じられず、ボディがきちっと吸収している印象を受けた。

今回はもう通い慣れた愛知県岡崎市までの新東名~東名高速経由で、往復およそ700kmほどを走破した。例によって高速上はほぼACCの恩恵にあずかり、120km/hのクルージングを楽しんだ。航続距離1144kmで出発して、約700km走行後でも、残走行可能距離は300km台後半。このようなロングツーリングにはうってつけで、燃費は楽に20km/リットルを超える。

◆庶民にはちょうどよいとは言えないが…

走りを楽しめ、快適に移動でき、駐車スペースにも困らず、いざという時に大人5人が乗車できる。まさにちょうど良いBMWである。おまけにMHEV化して、ダッシュもすばしこい。ただし、69万2000円のオプションが乗った試乗車の価格は、617万2000円。まあ、庶民にはちょうどよいとは言えないけれど、輸入車のコストパフォーマンス的には今どきのクルマとしてはちょうどよいのかもしれない。

BMW 220dグランクーペBMW 220dグランクーペ

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ホンダ23車種、ガソリンが漏れるおそれ…6月掲載のリコール記事まとめ
  2. スズキ『カプチーノ』復活の可能性!…軽規格を維持、FRレイアウトも継承か
  3. 三菱『パジェロ』新型のデザインはこうなる! 公式発表は2026年秋予定
  4. ホンダ23車種・3364台をリコール 低圧燃料ポンプ交換作業に不備
  5. ヤマハの原付電動スクーター『JOG E』全国発売へ、本体のみなら約16万円で買える
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. セキュア開発における脅威分析【自動車セキュリティ解説 第2回】
  2. 「容赦なきエルグランド包囲網」トヨタの高級ミニバン『アルファード』改良発表にSNS注目! 価格も争点に
  3. BYD12万人の技術力と日本市場への本気度、補助金逆風下「ラッコ」の戦略とは…BYD Auto Japan 東福寺厚樹 代表取締役社長[インタビュー]
  4. バックミラーは「銀座4丁目」だった…電子ミラー最大手「ジェンテックス」が握る車内センシングの主導権
  5. 自動車業界の現場が直面しているサイバーセキュリティの課題と実態【自動車セキュリティ解説 第1回】
ランキングをもっと見る