フォルクスワーゲングループの子会社PowerCoは、ザルツギッターのギガファクトリーで欧州初となるユニファイドセル(統一規格セル)の生産を開始したと発表した。
今回のセルはNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)技術をベースにし、従来比でエネルギー密度が約10%向上している。生産されたセルはフォルクスワーゲン、シュコダ、セアト/クプラの「エレクトリック アーバンカー ファミリー」へ供給され、2026年に搭載車両が市場に投入される予定だ。
フォルクスワーゲングループのオリバー・ブルーメCEOは、「自社でバッテリーセルの設計、開発、生産を手がけるヨーロッパ初の自動車メーカーとして、技術的主権を確立し世界の自動車テクノロジーをリードする」と強調した。
PowerCoはグループ全体のユニファイドセル需要の約半分を生産し、残りは外部から調達する計画だ。標準化されたアーキテクチャにより多様なバッテリー化学特性の採用が可能であり、今後はLFP(リン酸鉄リチウム)セルや全固体電池などのバリエーションも展開する。
ザルツギッターの工場は最大20GWhの年間生産能力を持ち、将来的に40GWhまで拡張可能だ。さらに同社はスペインのバレンシア、カナダのセントトーマスでもギガファクトリーを建設中で、これらと連携して技術と人材のノウハウ共有を進めている。
また、ザルツギッター工場は持続可能性への取り組みも特徴的だ。生産は風力と太陽光など再生可能エネルギーで賄われており、これにより年間最大11万5000トンのCO2排出を削減する見込み。高度な自動化とリアルタイムデータ分析により品質と効率が向上し、AI活用の品質管理体制も構築されつつある。
これによりフォルクスワーゲングループは、今後のeモビリティ時代における競争力と技術リーダーシップを強化している。




