欧州投資銀行(EIB)とSTマイクロエレクトロニクス(ST)は12月24日、欧州の半導体産業の競争力と戦略的自律性を強化するため、5億ユーロの融資契約を締結したと発表した。
これはEIBが最近承認したST向け10億ユーロのクレジット・ラインにおける第1回トランシェとなる。
STはイタリア、フランス、マルタなどの欧州諸国で事業を展開し、自動車、産業機器、パーソナル電子機器、通信インフラ市場に半導体を提供する主要半導体メーカーだ。
1994年以降、EIBはSTの9件のプロジェクトを支援しており、総融資額は約42億ユーロに上る。今回のプロジェクトでは、STが研究開発と大規模量産を進めるイタリアとフランスにおいて、革新的な半導体技術および製品への投資プログラムを支援する。
合意内容の約60%は重要拠点であるイタリアのカターニャ工場およびアグラテ工場、フランスのクロル工場などを対象とした量産能力向上に関するもので、残りの約40%は研究開発を対象としている。
この合意は、EIBの代表団によるSTのカターニャ工場訪問後に締結されたもの。同工場は、SiCバリューチェーン全体をカバーする最先端工場で、EIBによる融資の主な対象となっている。
EIBはEU加盟国が所有するEUの長期貸付機関で、8つの核心的優先項目を軸として活動しており、EU政策目標に貢献する投資に向けた資金を融資している。具体的には、気候変動対策と環境保護、デジタル化と技術イノベーション、安全保障と防衛、結束政策、農業とバイオエコノミー、社会インフラ、資本市場連合、そして、より平和で豊かな世界において欧州を強化するような投資を対象としている。
EIB Groupは、欧州投資ファンド(EIF)も傘下に置き、2024年には900件を超える影響力の大きなプロジェクトに対して約890億ユーロの新規融資契約を締結し、欧州の競争力と安全保障を促進している。
STマイクロエレクトロニクスは、約5万名の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカー。約20万社を超える顧客や数千社のパートナー企業と協力しながら、顧客のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいる。




