三井化学、出光興産、住友化学の3社は12月24日、国内におけるポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)事業の統合について事業統合契約および合弁契約を締結したと発表した。
統合は、三井化学と出光興産の合弁会社、プライムポリマー(PRM)が行うPO事業と、住友化学の国内PP事業およびLLDPE事業を統合するもの。競争法その他の法令等に基づき必要なクリアランス・許認可等の取得が完了することが前提となる。
国内における合成樹脂需要の約5割を占めるPOは、自動車、電子材料、医療機器などの多岐にわたる用途に使用される素材で、国内産業にとって欠かすことのできない製品だ。しかし1990年代以降、国内POメーカーは統廃合を進めてきたものの、供給過多という課題は依然として解消されていない。人口減少や生活習慣の変化による内需の縮小により、国産POの需要は今後更に減少する見込みだ。
PRMは2005年に三井化学と出光興産の合弁会社として設立されて以降、PP、PE(LLDPE、HDPE)を主な製品とし、国内のPO業界をけん引してきた。PRMと住友化学は、それぞれ京葉地域に拠点を持つことに加え、環境負荷低減技術の開発においても大きなシナジーが期待できることから、住友化学のPPとLLDPEの事業をPRMに統合することは、国内のPO事業強化のみならず輸入品に対する水際競争力につながるという認識を共有している。
本事業統合により、3社協力のもと80億円/年以上の合理化を目標として生産体制等を最適化し、強靭でエッセンシャルな企業体としての競争力を一層強化する。さらに、高機能かつ環境配慮型製品の開発力を高めることで、持続可能なグリーンケミカル事業の実現に向けた取り組みを加速していく。
統合の方式については、住友化学がPRMに対して、二段階の吸収分割により本対象事業を譲り渡し、吸収分割第一段階の対価としてPRMの持分比率20%に相当する株式を取得する。その結果、PRMは三井化学が52%、出光興産が28%、住友化学が20%の割合でそれぞれ出資する合弁会社となる。
二段階の吸収分割については、第一段階として本対象事業のうち製造機能を除いたものを承継させる吸収分割を2026年4月1日付けで締結し、2026年7月1日に効力発生する予定。PRMで予定しているシステム統合準備が完了した後に、第二段階として事業のうち製造機能に付随する資産および負債、同機能における契約上の地位および権利義務を承継させる吸収分割を2027年1月に締結し、2027年4月1日に効力発生する予定だ。
統合後の国内生産能力は、統合前のPP126万トン/年、PE55万トン/年から、PP159万トン/年、PE72万トン/年に拡大する。売上高は3873億円(2024年度両社合算)となる。




