JAF(一般社団法人日本自動車連盟)は、帰省や旅行などでクルマの利用が増える年末年始に向け、雪道対策と事前点検の徹底を呼びかけている。冬期は急な冷え込みや路面凍結、大雪による交通への影響が発生しやすく、スタッドレスタイヤやチェーンなどの適切な装備が重要だ。
◆雪道で顕著、ノーマルタイヤの制動距離の長さ
JAFは、6種類のタイヤを用い、圧雪路と氷盤路で制動距離の実験を実施した。圧雪路は雪が踏み固められた状態の路面、氷盤路は凍結した路面(アイスバーン)である。
●雪道は適切な装備が不可欠
圧雪路では、スタッドレスタイヤが最も短い距離で停止したいっぽう、ノーマルタイヤは制動距離が約1.7倍に伸びた。また氷盤路では、ノーマルタイヤの制動距離はチェーン装着時と比べて約1.8倍に達した。
JAFは、雪道でノーマルタイヤを使用すると、スタッドレスタイヤやチェーン装着時に比べて制動距離が著しく長くなると指摘する。スタッドレスタイヤは圧雪路、氷盤路のいずれでも比較的制動距離が短い。
●出発前の確認と慎重な判断が重要
また、雪や雨の後は、見た目に雪がなくても路面が凍結している場合がある。JAFは、雪道を走行する際は必ずスタッドレスタイヤやチェーンを装着し、慎重な運転を心がけるよう呼びかけている。雪道をノーマルタイヤで走行することは極めて危険だ。
年末年始は人の移動が集中する一方、天候の急変による影響も受けやすい時期だ。JAFは、出発前に最新の天気予報を確認し、大雪が予想される場合は不要不急の外出を控えるなど、事前の点検と準備、慎重な判断を心がけるよう注意を促している。
◆「走れても止まれない」雪道のノーマルタイヤ
JAFは、雪道におけるノーマルタイヤの危険性を検証するため、圧雪路と氷盤路で制動距離の比較テストを実施した。雪がほとんど降らない地域では、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを装備していないユーザーも多く、降雪時にノーマルタイヤで走行することで、スリップ事故や渋滞の原因となっている。
今回のテストでは、40km/hから急ブレーキをかけ、ABS作動時の制動距離を新品の6種類のタイヤで測定した。圧雪路は雪が踏み固められた路面、氷盤路は凍結した路面(アイスバーン)を指す。
●圧雪路、ノーマルは制動距離がスタッドレスの約1.7倍
圧雪路では、スタッドレスタイヤが最も短い距離で停止した。いっぽうノーマルタイヤは、スタッドレスタイヤの約1.7倍も制動距離が長くなった。
オートソックやスプレーチェーンは比較的短い距離で停止できたが、走行距離や路面状況によって性能が低下しやすい。安定した性能を得にくいことから、緊急用としての使用が前提とされる。チェーンは種類や路面状況によって制動距離が長くなる場合もあり、注意が必要だという。
●氷盤路ではチェーンが有効
氷盤路(アイスバーン)では、チェーン装着時が最も短い距離で停止した。チェーンに埋め込まれた金属製のピンが氷盤に食い込み、グリップ力が高まったとみられる。
スタッドレスタイヤは圧雪路、氷盤路のいずれでも比較的制動距離が短く、安心感が高かった。ただし氷盤路でのスタッドレスタイヤは、ノーマルタイヤやチェーン装着時に対して、圧雪路で示したような優位性はなかったので、過信は禁物だとしている。
いっぽうノーマルタイヤ、オールシーズンタイヤ、オートソック、スプレーチェーンは、いずれも制動距離が長くなった。特にノーマルタイヤは、チェーン装着時と比べて約1.8倍も制動距離が長くなった。




