三菱自動車工業のモータースポーツ活動の歩みを、ダカールラリー(Dakar Rally)を中心に整理した研究書が登場した。グランプリ出版が刊行した『三菱モータースポーツ史』は、当事者への取材や史料を基に、三菱が積み重ねてきた競技活動と技術の継承を詳しく解説している。
三菱自動車工業理事で、ダカールラリーで活躍したラリーストの増岡浩氏は「三菱自動車工業は1962年のマカオグランプリを皮切りに、これまで長きにわたって国内外のモータースポーツに参戦してきたが、その活動のおかげで多くのものを得ることができた」と本書で語る。
なかでも1982年に誕生した『パジェロ』を起点に本格参戦したダカールラリーでは、日本人初の総合優勝(篠塚建次郎)や大会7連覇、通算12勝という前人未踏の戦績を残した。
本書では、1983年の初参戦で市販車無改造クラスを制したパジェロが、参戦を重ねる中で課題を克服し、クロスカントリー車両として完成度を高めていく過程を追っている。ダカールで培われた経験や技術は、WRCにおける『ギャラン』や『ランサーエボリューション』の開発にも生かされ、生産車両へと受け継がれていった。
モータースポーツ活動を通じた技術進化に加え、人材育成やブランドイメージ向上といった側面にも光を当てる。現場での経験を通じて若手エンジニアが育成され、海外での競技実績が三菱の知名度向上に寄与した点も整理している。
本書はダカールラリーを中心に、WRCや近年の活動までを網羅し、2021年のラリーアート復活に至るまでの軌跡をたどる構成だ。三菱自動車工業設立55周年の節目に、同社のモータースポーツ史を総合的に振り返る。
ダカール2003年、増岡優勝
『三菱モータースポーツ史』〈新装版〉
ダカールラリーを中心として
著者:廣本泉(ひろもと・いずみ)
発行:グランプリ出版
体裁:A5判・並製・196頁(カラー16頁)
定価:3300円(本体3000円+税10%)
目次
モータースポーツ活動から得られたこと 増岡浩
第1章 黎明期のモータースポーツ活動
第2章 パリ・ダカールラリー挑戦の軌跡
第3章 ダカールラリー以外のモータースポーツ活動
第4章 ダカールラリーにおける成功の原動力
ダカールラリーにおける三菱のリザルト
WRCにおける三菱のリザルト
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