ホンダ初の電動モーターサイクル『WN7』が白バイとして日本に上陸する。2026年1月の箱根駅伝で、先行車両(いわゆる先導車)を務める予定だ。このニュースにSNSでは、「EVの白バイとかステルス過ぎて怖いわw」「お正月の楽しみが増えました」など話題となっている。
東京都は、CO2を排出しない環境先進都市「ゼロエミッション東京」の実現に向け、都内で新車販売される二輪車を2035年までに100%非ガソリン化することをめざしている。EVバイク普及推進に向けた機運醸成のための象徴的な取組として、白バイ仕様の国産EVバイクが、箱根駅伝の東京都内区間、1区と2区を先導する。
マラソンや駅伝などの先導では、すでに海外製スクータータイプのEVバイク(BMWなど)が使用されているが、国産で、跨って乗るモーターサイクルタイプのEV白バイは初登場だ。ホンダが2026年1月の箱根駅伝向けに4台を東京都に貸与、警視庁の協力で運用する。
ホンダ WN7 警視庁白バイ仕様
白バイのベース車となるのは、11月のEICMA(ミラノショー)で発表されたWN7。警視庁白バイの備品・装備がいくつか加えられているが、面白いのは、左側、シフトチェンジペダル代わりの足置きだ。本来ならEVバイクはシフトチェンジが不要なので、WN7にもついていないが、白バイ隊員に試乗してもらったところ、ライディングポジション保持のために追加されることになったという。
WN7のデザインは「機能を研ぎ澄まし、本質を表現すること」をめざし、ライダーが触れるボディ部分はシームレスで滑らかな表面としながら、力強いシルエットとした。横一文字のシグネチャーライトは、今後ホンダの電動二輪車の共通アイデンティティとなる。
車体骨格には、通常車体の前後をつなぐフレームではなく、車体の中心に配置したアルミ製バッテリーケースを骨格の一部とする構造を採用した。車体と前方のステアリングを保持するヘッドパイプと、車体の後方を保持するピボットブラケットは同じく車体中央に配置されたパワーユニットに直接締結されている。
ホンダ WN7 警視庁白バイ仕様WN7のモーターは、搭載性に優れた軽量コンパクトな水冷・インバーター一体型モーターを専用開発した。最高出力は50kWで排気量600ccのICE車相当、最大トルクは100Nmで1000ccのICE車に匹敵する。定格出力(安定して出力を続けられる最大値)が18kWなので、日本の法規では「軽二輪車(小型二輪)」に分類され、「小型二輪免許」で運転できる。
駆動バッテリーは、新規開発した9.3kWhの固定式リチウムイオンバッテリーを採用。急速充電を可能にするCCS2規格と一般家庭にある普通充電Type 2規格を採用した。フロントフォークの幅に収まるコンパクトな形状だ。EVスクーターで使用している「Mobile Power Pack e:」は採用していない。
フル充電時の航続は140km(WMTCモード)。箱根駅伝1区が21.3km、10区が23.0kmなので、充分だ。
WN7の生産は、ホンダが二輪車生産のマザー工場として位置付けている熊本製作所。2026年からグローバル市場に供給する予定となっている。
ホンダ WN7 警視庁白バイ仕様EV白バイの登場に、X(旧Twitter)では「EVの白バイとかステルス過ぎて怖いわw」「サイレン鳴らすまで、追尾されていることに全く気づかないと言う状況が目に浮かぶ」「音しない白バイとか一番ビビるやつ」など、戦々恐々とするユーザーのコメントも。
またWN7がベースとなっていることで、「白バイだとVFR800以来? EVでマフラーがないから余計に強調されてて格好いい!」「フェイスデザインが未来的だからSF車両っぽくていいな」「ホンダのEV白バイマジでカッコいい」など、そのデザインにも改めて注目が集まっている。
このほか、「箱根駅伝でのデビューが楽しみ」「お正月の楽しみが増えました」「ランナーの先導としてEVは排ガス出ないし理にかなってるよなぁ」など、箱根駅伝での勇姿に期待の声も多く上がっている。
ホンダのEV白バイが走る「第102回 東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)」は、2026年1月2日と3日にかけて開催。往路は1月2日8時00分に、東京大手町の読売新聞社前をスタート。復路の3日は8時00分に神奈川県箱根町の芦ノ湖駐車場入り口をスタートする。




