バスが旅客輸送、とくに地方交通の主軸だった頃はよく見かけたのが、櫛(くし)形のバスターミナルだ。道路あるいは進入・退出の通路に対し、複数のバスが直角に並ぶタイプだ。今この形のバスターミナルは、急速に数を減らしているらしい。
バスターミナルのレイアウトが、ちょうど髪の毛をとかす櫛のような形になる。鉄道の駅でいう頭端式ホームだ。バスが頭から突っ込んで停止、後退で発車してスイッチバックしてから出発するのと、バスがスイッチバックして後退で停止、順方向に発車するのと、向きは前後2種類ある。
櫛形レイアウトの利点は、縦列にバスを停める場合と比べて、乗り場・降り場をコンパクトにまとめられることだろう。欠点としては、バスの走行に必ず旋回、スイッチバックが発生すること、そのスイッチバックのためにスペースが必要なこと、さらに周囲の状況によっては、バスの誘導員が必要なことが考えられる。
櫛形バスターミナルの例としては、新潟市の新潟駅万代口バスターミナルが大規模な施設だったが、2024年に廃止された(万代シティーバスセンターへ移転)。首都圏では横浜市の綱島駅バス乗り場が数少ない例だ。
綱島駅のバス乗り場
綱島駅のバス乗り場は東急東横線の高架下に位置し、高架の橋脚の間にバスを止めるために櫛形レイアウトになったようだ。乗り場は8バースあり、そのうち7バースが道路に交わる方向。道路と平行な1バースは降車専用だ。バスは乗り場手前にある降り場で乗客を降ろし前進、スイッチバックしてハンドルを切りながら後退し、乗り場に進入する。スイッチバックの際は、地上の係員が誘導する。また、ダイヤによってはスイッチバックせず、道路と並行の位置で乗車させることもある。
乗り場7バース全てを縦列に配置すると延長は120mぐらいになったはずだが、35mていどですんでいる。なお近くに新綱島駅が開業したことに伴い、綱島駅バス乗り場は2023年から乗車4バース、降車1バースでの運用となり、現在は東急バスが発着している。
櫛形の変形として、バスが道路・歩道に対して斜めに止まるヘリンボーン形がある。スイッチバックは必要だが、直角発着と比べてバスの回転角度が小さいことが利点か。ヘリンボーン形バスターミナルは、北海道の小樽駅前・北海道中央バス乗り場はじめ、まだ各地にある。このうち愛知県の東岡崎駅北口・名鉄バス乗り場は、ヘリンボーン形だったが、都市再開発が始まり櫛型になった。工事の進展で今後も様子が変わる予定だ。
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