2025年話題となった2台! スズキ『DR-Z4SM』とヤマハ『YZF-R9』、全く違うのに実は共通する「意外な楽しみ方」とは?

2025年に話題となった2台、ヤマハ YZF-R9(左)とスズキ DR-Z4SM(右)
2025年に話題となった2台、ヤマハ YZF-R9(左)とスズキ DR-Z4SM(右)全 46 枚

2025年10月は、話題のニューモデルが相次いで登場した。1台は17年ぶりの復活になったスズキ『DR-Z4SM』(以下DR-Z)、もう1台は新開発のヤマハ『YZF-R9』(以下R9)だ。いずれも高い性能を誇りつつもサーキットのみならず、ストリートにおける楽しさや扱いやすさも重視。というわけで、街乗りとワインディングを中心に、それぞれの走りを比較してみた。

【画像】スズキ『DR-Z4SM』とヤマハ『YZF-R9』

ヤマハ YZF-R9(左)とスズキ DR-Z4SM(右)ヤマハ YZF-R9(左)とスズキ DR-Z4SM(右)

DR-ZとR9のウェブサイトを見てみると、スライドしていたり、フルバンクだったりと、クローズドコースの本気走りがメインビジュアルになっている。パフォーマンスの高さを押し出すための常とう手段ではあるけれど、その一方で無理なく日常使いできる親しみやすさもアピール。カジュアルな装いでの街を駆け抜けるシーンも忘れていない。

実際、多くのユーザーが休日に自宅を出発し、街中を抜けて高速道路を経由した後、ワインディングを満喫して帰宅、というような使い方をするはず。その中でも、タンデムではなくソロを好み、基本日帰りなので積載性は二の次。パワーよりも開ける楽しみを満喫したい。そんな条件にぴったりとフィットするモデルが、今回の2台だと思う。

◆足つきの“プレッシャー度”は「DR-Z」に軍配?

スズキ DR-Z4SMスズキ DR-Z4SMスズキ DR-Z4SMスズキ DR-Z4SM

まずは、日常性において結構重要な足つきはどうか。シート高はDR-Zが890mm、R9が830mmを公称する。身長174cmの筆者がまたがると、いずれもかかとは接地しないものの、R9には明らかな余裕があり、しっかりと踏ん張れる。

ただし、セパレートハンドルゆえに上体はそれなりに前傾することと、車重195kg分の手応えはあるため、両足のつま先が届く程度の体格があるなら、心理的なプレッシャーはDR-Zの方が低い。こちらはアップハンドルゆえ、上体を支える力はさほど要さず、車重も154kgに留まっているからだ。「足なんて片方が少し着けばOK」という人はさておき、身長170cmあたりを境界に、評価が異なってきそうだ。

ヤマハ YZF-R9ヤマハ YZF-R9ヤマハ YZF-R9ヤマハ YZF-R9

◆低回転域のドライバビリティなら「R9」か

発進から低速走行に至る低回転域のドライバビリティは、R9に分がある。888ccの水冷3気筒エンジンは、スロットル操作に対して遅れることも先走ることもなく、リニアさの手本のように反応。少々ラフなクラッチミートも許容し、アイドリング+αから力強い蹴り出しで車体を押し出してくれる。いわゆるドンつきの類もない。

DR-Zも十分フレキシビリティに富むが、同じ条件で比較すると、わずかながら半クラッチを意識する時間があり、クラッチミート後のひと捻りと、それにともなう車体挙動も大きくなりがちだ。

◆初見のワインディングでもリラックスして乗れる「DR-Z」

スズキ DR-Z4SMスズキ DR-Z4SM

さて、そこからペースを上げた時のハンドリングである。初見のワインディングでリラックスして乗れるのは、DR-Zだ。車体の軽さとスリムさ、見晴らしのいいアイポイントがすべてプラスに働き、なんとなく飛び込んだコーナーの先で何事かあったとしても対応できる幅が広い。

標準装着されるダンロップのラジアルタイヤ「スポーツマックスQ5A」は、張りつくような接地感ではないものの、それゆえ軽快で、よくストロークするサスペンションともマッチングは良好。今回試乗したワインディングは縦溝のグルービングが続き、「アスファルト、タイヤを切りつけながら~」を地でいく路面ながら、グリップをさほど気にすることなく、走り抜けられた。

関東近郊のワインディングなら椿ラインや乙女峠、サーキットならトミンモーターランドや那須モータースポーツランド、富士スピードウェイのショートコースといった、手狭だったり、低グリップだったり、アップダウンの大きいステージで、そのハンドリングが活きるはず。路面状況が刻々と変化する中でも、ラリーカーを操っているようなタフさでコーナーを攻略していける。

◆これまでのSSでは得られなかったスマートな一体感の「R9」

ヤマハ YZF-R9ヤマハ YZF-R9

その点、R9はずっとスマートだ。休日の朝、勝手知ったるワインディングに出向き、まだ交通量の少ない時間帯を狙ってスポーティな走りを堪能。ブランチを楽しんだ後、早めに帰宅する。そんなシーンがハマる。どこからでもついてくるエンジンの扱いやすさに任せ、コーナー立ち上がりでスロットルを大きくオープン。その時に発する刺激的な3気筒サウンドと、リアタイヤが路面をがっちり捉えるトラクションによって、それまでのスーパースポーツでは得られなかった一体感に身を浸せるはずだ。

こちらも走行ステージを想定すると、ワインディングならターンパイクや芦ノ湖スカイライン、サーキットならモビリティリゾートもてぎや筑波のコース2000などの開けていけるシチュエーションがふさわしい。おいしいポイントは違えど、DR-ZとR9のどちらも等しく楽しめるのが、ふじあざみラインや袖ヶ浦フォレストレースウェイあたりだ。

バイクがなんであれ、車体がバンクした時のコーナリングGや遠心力の手なずけ感に醍醐味があるものだが、それを手軽に、しかし一歩踏み込んだ動的質感で見せてくれるのが、今回の2台である。

伊丹孝裕氏伊丹孝裕氏

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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