レスポンスセミナー「【BEV分解調査で分かった】SDV時代のクルマの将来像とステアバイワイヤの最前線」では、SDVで広がる自動車の可能性について、識者・専門家を交えたディスカッションが行われる。
SDVについては、自動運転、統合ECU、インフォテインメント、ソフトウェア・ハードウェアの共通コンポーネント化や仮想化技術などさまざまな切り口がある。その中で埋もれがちだが重要な要素技術のひとつとして、ステアバイワイヤ(SbW)を挙げることができる。
ステアバイワイヤを、単に操舵を物理リンクから電子的なリンクに変えたもの、という見方は完全とはいえない。間違ってはいないが、その技術が影響を及ぼす範囲、とくに商品としての車両設計にかかわる部分への影響を見逃すことになりかねない。
セミナーに登壇するのは、ジェイテクト 自動車事業本部 先行システム開発部 第1システム開発室 上席プロフェッショナル 高橋俊博氏だ。
ジェイテクトは、2006年にベアリングメーカーの光洋精工と工作機械メーカーの豊田工機とが合併して誕生した自動車部品メーカーだ。前身の両社がそれぞれの祖業の技術を活かし自動車産業に参入する中、ステアリングシステムを手掛けることとなり、その一大サプライヤーとなるため一つになった。

現在では前身企業の祖業と自動車ビジネスを柱に、多様な要素技術(コンピタンス)を掛け合わせて、世の中やお客様の困りごとを解決するソリューションプロバイダ―への変革を進めている。

セミナーの前に、ステアバイワイヤとはどんな技術なのか、改めて話を伺った。その概要を以下にまとめる。
パワステ・EPS・SbWの違い
一般的なステアリングシステムは、ハンドルの回転運動を左右の運動に変える機械的な機構(ステアリングギア)で構成される。近年ではパワーアシストが一般的となり、メカニカルリンクの間にモーターを介在させている。さらにADASや自動運転車両では、このモーター(アクチュエータ)操舵制御のために積極的なトルク介入やセンシングが行われる。
パワー(アシスト)ステアリングやADAS対応のEPS(Electric Power Steering)では、操舵のためのアクチュエータはコラムシャフト側か、ステアリングギア側のどちらか一方に設定される。前者を上流アシストタイプといい、後者を下流アシストタイプという。また、アクチュエータは、操舵のためのトルクを発生するだけでなく、ステアリングの反力を発生させるためにも利用される。さらに、ドライバーの操作量や力を計測するセンサーの役目も持っている。
ステアバイワイヤーになると、EPSとステアリングギアの間の中間シャフト(メカニカルリンク)が信号ケーブルに置き換えられる。制御のためのアクチュエータはステアリングコラム側とステアリングギア側の2か所に設置される。
ステアリングコラム側のアクチュエータは操舵アクチュエータ(HWA)と呼ばれ、操舵角検出と反力生成に使われる。ステアリングギア側のアクチュエータは転舵アクチュエータと呼ばれ、ラック軸力生成と路面情報検出に使われる。

これまで高級車や一部の車でしか採用されていなかったステアバイワイヤ技術だが、ADASの発達や自動運転の実用化が進むにつれて、電子制御のメリット、ソフトウェア制御ができることが注目され、重要な要素技術のひとつとして新しいフェーズを迎えている。
なぜステアバイワイヤ技術がSDVにとって重要なのか
ステアバイワイヤが改めて注目されている理由について、技術寄りの視点で考えてみる。EPSおよびその電子制御領域を広げたステアバイワイヤシステムのメリットは、主に次の3つがあると考えられる。

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