静岡県のプロショップであるWISTERIA(ウィステリア)にはデモカーとしてBMW『330e』が用意されている。注目したいのは比較的リーズナブルなシステムとシンプルな取り付けでありながら、同ショップがプッシュする高音質を体感できる点だ。まずは音を確かめてみたい1台である。
◆エントリーでも現実的な予算で高音質を体感できるデモカー
プロショップのデモカーにはいくつかの方向性がある。そのひとつがエントリーユーザーにも分かりやすく、高音質オーディオを始めるきっかけを作るデモカーだ。ウィステリアはこの思想を軸にBMW 330eを仕立てている。代表の大塚さんに、このデモカーに込めた狙いを語っていただいた。
「エントリーユーザーには純正からスピーカー交換など、手軽な変更からシステムアップを始める手もあります。加えてムダなく最短距離で良い音を作るのも大切だと思っています。そんなときに参考になるデモカーとして作ったのがこのBMWです。システムのユニット合計は49万600円(2025年の取材当時の価格/サブウーファーは別ユニットに変更されている)で、比較的手軽に導入できることにもこだわりました」
さらにサウンド面には強い意志がある。大塚さんが特に注力したのは「リアルな音に近づける」ことだ。そのためDSPを使った調整を基本とし、測定器を積極的に使いながら理詰めで音を整えていく。同ショップならではのスタンスを、このデモカーでも実践している。
「原音とは何なのか。それに近づけることを、分かりやすい例として示したのがこのデモカーの役割なんです」
試聴すれば、ウィステリアが考える高音質がどのような方向性なのかをストレートに体感できるはずだ。
◆マルチアンプとDSP調整でスピーカーを個別に追い込む
ウィステリアの音作りについて、もう少し深く聞いた。大塚さんが考える“正しい音”とは何なのか。それを追求する姿勢が同ショップの思いであり、デモカーに込めた狙いでもあるという。
「私は正しい音=自然界にある音に合わせることだと考えています。そのためカーオーディオのインストールにおいて、これを基準にした音調整を実施しています」
「では自然界における正しい音って何なのでしょう。僕は、1オクターブ音階が上がるたびに3dB音圧が下がる状態が基準だと考えています。つまりピンクノイズの特性に近いバランスです。この基本を忠実に守り、DSPの調整を駆使してサウンドを整えていくのが私の方法の基本となっている」
その言葉どおりデモカーは、ベーシックなシステムで用いられがちなパッシブネットワーク付きのフロントスピーカーではなく、アクティブ仕様(パッシブレス)の2ウェイスピーカーを採用。さらにDSPアンプを組み合わせ、各スピーカーを個別にコントロールしながら増幅する構成をベースとしているのも印象的だ。ただしDSPアンプは比較的リーズナブルなモデルを選び、ハイエンドに寄りすぎないよう配慮している。エントリーユーザーでも現実的に組めるシステムにこだわった点が、このデモカーの見どころだろう。
一方でアクティブ化は調整の自由度が高い反面、セッティング次第で音の印象が大きく変わる。短時間の試聴では「何が変わったのか」を判断しにくいこともあるため、試聴時は得意ジャンルの曲やいつも聴く音源を持参し、違いを確認するのがおすすめだ。
◆BMW専用2ウェイで加工を抑えつつ高音質を狙う
フロントスピーカーに選んだのは、ブラムのBMW専用モデルであるブラム100 S24 BMW A。専用モデルだけに大きな加工を加える必要がなく、純正位置への取り付けが可能なのが特徴だ。さらにパッシブネットワークを備えないアクティブモデルのため、DSP調整を前提としたシステムとしてもムダがないチョイスになっている。もちろんサウンド面での魅力も、大きなセレクト基準となった。
取り付けはシンプルで、ツイーター(T20HR)はドアミラー裏の純正位置にビルトイン取り付け。純正の内装イメージを崩さない。ドアには4インチ(100mm)ユニットのS4N24を同じく純正位置に取り付け、いずれも純正位置へのインナー取り付けとしてインストールのハードルを下げている。エントリーユーザーにも受け入れやすい取り付けと言えるだろう。
ミッドバスはシート下の純正位置に対して、プラグ&プレイのBMW SUB01を用いて中低域の厚みを強化した。
さらにサブウーファーには、デモカーではビーウィズのC-180Kを用いている(本来は6万円台のモデルを組み合わせている)。サブウーファー用のパワーアンプにはプラグ&プレイの2チャンネルパワーアンプであるPOWERを使用。取り付けはリアシートのトランクスルー部分に振動板をのぞかせるエンクロージャー設計とし、車室内に低音を行きわたらせる狙いだ。
高音質とリーズナブル、さらにシンプルな取り付けを両立させたウィステリアのBMW 330eデモカーは、これから本格的に高音質化を計画しているエントリーユーザーにとって必見、必聴の1台となった。後編ではDSPやオーディオプレイヤーなど、システムの中核を紹介していくこととしよう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後、出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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