気象庁によると、発達中の低気圧がオホーツク海を北東に進み、日本付近は強い冬型の気圧配置となる見込み。大雪時は、車両の立ち往生が広域の交通まひや救援活動の遅れにつながる。
国土交通省などは、過去の大規模滞留を踏まえ、冬用タイヤやチェーン装着、運行判断の徹底を呼びかけている。過去の大雪時に発生した立ち往生事例を振り返る。
●国道8号(福井県)2018年2月
最大46km、約1500台が立ち往生
2018年2月の豪雪では、福井県内の国道8号で大型車のスタックなどをきっかけに滞留が拡大し、最大46kmの区間で約1500台の立ち往生が発生した。通行止めを実施し、自衛隊の協力も得て排除・除雪を進め、2月9日1時00分に滞留車両の解消、同日5時00分に通行止めを解除した。
豪雪・立ち往生の経緯は以下の通り。
- 記録的な大雪の発生
2018年2月4日から8日にかけて、西日本から北日本の上空約5000mに氷点下39度以下の強い寒気が流れ込み、日本付近は強い冬型の気圧配置となった。この影響で福井県内では嶺北地方を中心に4日から降雪が始まり、8日にかけて断続的に雪が降り続いた。
嶺北地方では6日16時までの24時間降雪量が平地でも60cmを超え、福井市では最深積雪量が140cmを超えるなど、37年ぶりの記録的な大雪となった。
- 北陸道通行止めによる交通集中
大雪の影響により、国道8号と並行する北陸自動車道は、2月5日23時40分から武生IC~砺波IC間で集中除雪のため通行止めが実施された。この措置により、通過交通が国道8号へ集中する状況となった。
- 大型車スタックを契機とした滞留の発生
福井河川国道事務所は、交通を確保しながら除雪作業を継続し、立ち往生が発生した場合は個別に対応していた。しかし、2月6日8時30分頃、あわら市付近で大型車の脱輪などのスタックが発生した。
この時間帯は通勤ラッシュと重なっており、救出が困難な脱輪スタック車両を発端として、車両滞留が常態化した。その結果、国道8号では最大約46kmの区間で、約1500台の車両が立ち往生する事態となった。
- 災害対策基本法の適用と排除作業
除雪作業が著しく停滞する中、福井河川国道事務所は緊急車両の通行確保を目的として、災害対策基本法を適用した。2月6日10時00分から当該区間を通行止めとし、福井県知事の派遣要請を受けた自衛隊と連携して、除雪作業およびスタック車両の排除を進めた。
- 滞留解消と通行止め解除
その後、除雪と排除作業が続けられ、2月9日1時00分に全ての滞留車両を解消した。除雪状況を確認したうえで、同日5時00分に国道8号の全線通行止めが解除された。
●関越自動車道(新潟県)2020年12月
約2100台が滞留
2020年12月の集中降雪では、関越自動車道で大型車のスタックなどを契機に、約2100台の車両滞留が発生した。自衛隊や警察などと連携し、物資配布やUターン誘導などで車両救出を行なった。これを受け、国や高速道路会社は、集中降雪時の危機管理体制や情報提供、予防策強化などを検討課題として整理している。
大規模な車両滞留が発生した主な原因(課題)は以下の通り。
- 通行止め判断の先送り
関越道では立ち往生が発生していたものの、順次排除できるとの判断から通行止めを実施しなかった。並行する国道17号でも通行止めや事故、立ち往生が続いており、関越道を通行止めにして車両を流出させると、国道17号の混乱がさらに拡大すると考えたことが、通行止め判断の先送りにつながった。
- 災害認識の不足と情報発信の遅れ
高速道路内の交通障害は自組織で解消するという意識が強く、車両滞留を「災害」として捉える認識が乏しかった。このため、関係機関に対して災害としての情報発信が行われず、救援・救助の広域連携が遅れた。
- 関係機関との連携不足
利用者からの問い合わせを受け、関係機関も事態把握を進めていたが、NEXCO東日本新潟支社から十分な情報提供がなかったため、現場状況を正確に把握できなかった。その結果、各機関が連携した迅速な初動対応に遅れが生じた。
- 現地把握体制と指揮体制の弱さ
現地要員や監視カメラが不足し、現場情報が錯綜したことで滞留台数の計測ミスが発生した。また、現場の受援体制が弱く、指揮者不足の中で応援要員を効果的に活用できず、事態の混乱を拡大させた。
国道8号(新潟県柏崎周辺)2022年12月の滞留状況
●国道8号(新潟県柏崎周辺)2022年12月
最大約800台が滞留
2022年12月の大雪では、新潟県の国道8号(柏崎地区)で滞留が発生し、12月20日1時00分時点で約800台を確認した。集中除雪などにより滞留台数は減少し、12月21日4時30分時点で解消、同日6時00分に全面通行止めを解除した。
車両滞留と解消は次のような経緯をたどった。
- 立ち往生の発生と法適用
2022年12月19日9時40分頃から、国道8号において断続的に立ち往生車両が発生した。状況の悪化を受け、同日12時15分、国道8号の延長22.05km区間に災害対策基本法が適用された。その後、除雪や車両排除のため、同日15時40分から当該区間で全面通行止めが開始された。
- 自衛隊による支援と滞留状況
滞留車両の台数は、日付が変わって20日1時00分時点で約800台に達したが、同日4時00分時点では約310台まで減少した。10時00分からは、自衛隊が除雪支援に加え、車両滞留区間における物資および燃料の支援に着手した。
- 滞留解消と通行止め解除
除雪作業と車両排除が進められ、21日4時30分時点で滞留車両は解消した。これを受け、6時00分に国道8号の全面通行止めは解除された。
国土交通省は近年、特に大型車の装備不十分が滞留の端緒となり得るとして、冬用タイヤの点検や早めのチェーン装着、運行中止を含む判断を求めている。大雪が予想される場合、道路情報と気象情報を踏まえ、出発自体を見送る選択も含めた行動が重要だ。




