【ホンダ スーパーカブ110 試乗】もはや日本人のDNAに刷り込まれている!?「シーソー式ペダル」の素晴らしさ…伊丹孝裕

ホンダ スーパーカブ110
ホンダ スーパーカブ110全 44 枚

通勤やビジネスはもちろん、ツーリングもこなせば、ファッションアイテムにもなるホンダのロングセラー『スーパーカブ110』に試乗。このモデルならではの鼓動が心地いいひと時だった。

【詳細画像】ホンダ スーパーカブ110

◆シーソー式ペダルの楽しさ

ホンダ スーパーカブ110ホンダ スーパーカブ110

生産拠点が中国から熊本に移管された現行のスーパーカブ110は、エンジンのロングストローク化などを受け、2017年に登場。以来、特別仕様の追加やカラーリング変更、法規制への対応を経ながら今に至る。装備面における直近の大きな改良は、2022年に施されたフロントブレーキのディスク化とABSの採用、前後ホイールのキャスト化、ギアポジションのメーター表示機能などだ。

シリンダーが地面に対し、ほぼ水平になる横型レイアウトのおかげで足元にはゆとりがあり、乗り降りは容易だ。フレームのバックボーン部分がエンジンの上を通り、さらにレッグシールドが被さっていても車体をまたぐ動作に妨げはない。

ホンダ スーパーカブ110のシーソー式シフトペダルホンダ スーパーカブ110のシーソー式シフトペダル

エンジンを始動させ、シフトペダルをカチョンと踏んで戻せば、あとはスロットルを軽くひねるだけ。シーソー式ペダルの前側をつま先で踏めばシフトアップ、後ろ側をかかとで踏めばシフトダウン。ペダルに入力している間はクラッチが切れた状態になるため、その隙にスロットルをあおって、エンジン回転数を合わせるという芸当も可能である。

ちょっとしたタイミングを要するものの、だからこそ結構スポーティなのだ。エンジンブレーキをうまくいなしながらシフトダウンできた時は、30km/hほどのスピード域でも「キマッた」という満足感があって、存外に楽しい。

◆ギアポジション表示がありがたい

ホンダ スーパーカブ110ホンダ スーパーカブ110

スーパーカブ系が例外なく採用する、このシフトペダルの操作とうまくやるコツ。もしもそれを懇切丁寧に文字化したなら思いのほか膨大になるに違いなく、それでなお正確に伝えることはきっと難しい。にもかかわらず、日本人のDNAにはすっかり刷り込まれているのではないか、と思うほど、誰もがいとも簡単にこなせる、素晴らしい機構だと思う。

我が家の長女はスクーターの教習車両で小型AT免許を取り、初の愛車(つまり初の公道走行)として『クロスカブ110』を選んだが、大したレクチャーも練習もなく、ペダル操作をこなしていた。

既述のギアポジションの表示は、思ったよりずっと有意義だった。トップギアに入っていることはわかっちゃいるのに、あるはずもないギアに期待して、ついペダルを踏み込み、しかしなんの変化もなくて案の定がっかりする……という、それまでのモデルのお決まりから脱却できる。

シフトインジケーターを備えたメーターパネルシフトインジケーターを備えたメーターパネル

◆機械を操り、身を委ねる楽しさを誰もが味わえる

それにしても、いいエンジンである。コロコロと回る、元より丸みのある鼓動感は、2022年型以降のロングストローク化(50.0mm×55.6mm → 47.0mm×63.1mm)によって一段と穏やかさを増し、粘りと力強さと伸びやかなフィーリングがバランス。節度あるシフトタッチと遠心クラッチの切れのよさがそこに加わり、ただ加速しているだけ、ただ減速しているだけで、いかにも内燃機関の力を引き出し、どこまででも進んで行ける。そんな感覚に浸れて心地いい。

ハンドリングは軽やかながら、直進性に不安はなく、ディスクブレーキのタッチ、テレスコピックフォークのストローク感も良好。なにがどんな動きをしているのかを、つぶさに把握することができ、機械を操り、身を委ねるという行為の楽しさを誰にでも体感させてくれる乗り物である。

ホンダ スーパーカブ110ホンダ スーパーカブ110

■5つ星評価
パワーソース ★★★★★
ハンドリング ★★★★
扱いやすさ ★★★★★
快適性 ★★★★
オススメ度 ★★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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