なぜ今『CB400スーパーフォア』なのか? “王道ヨンヒャク”復活の真意をホンダ開発責任者に直撃

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Conceptの開発責任者・中村拓郎さん(右)と筆者(左)
ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Conceptの開発責任者・中村拓郎さん(右)と筆者(左)全 32 枚

◆企画当初は「スーパーフォア」ではなかった!?

「大阪モーターサイクルショー2026」で姿を現した、ホンダの新型『CB400スーパーフォア Eクラッチ コンセプト』。センセーショナルな発表直後、興奮冷めやらぬホンダブースの壇上で、アンベールされたばかりの車両にまたがりながら、開発責任者である中村拓郎さんに話を聞くことができた。

【画像】大阪モーターサイクルショー2026で初公開となった「CB400SF」

実車を前に言葉を交わしていく中で見えてきたのは、過去をなぞるのではなく、“今”に軸足を置いた明確な開発思想だ。

スペックや速さではなく、気持ちよさや扱いやすさを重視すること。そして、ジャパニーズスタンダードとしての価値観をいま一度問い直すこと。それこそが、このCB400スーパーフォアの本質である。

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

正式に復活すれば、2022年の生産終了以来4年ぶり。その存在は決して単なる“名車の帰還”ではない。この新型は明確に“現代”を見据えている。

まず意外だったのは、このモデルが最初から「スーパーフォア」として企画されたわけではないという事実だ。

開発の出発点は「この時代に合った400ccのスタンダードネイキッドをつくる」こと。その結果として「これはCBだよね」となったという。つまりこれは復活ではなく、いま求められているニーズから生まれた1台であり、現代の価値観を体現したCBなのである。

◆“ホンダらしい4気筒”とは何か

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

まったく新しいCB、その象徴的な存在となるのが、新設計の直列4気筒エンジンだ。直4ヨンヒャクを新設計することができた背景には、海外の巨大マーケット、特に中国市場で高まる4気筒人気がある。

ホンダは昨秋、重慶にて開かれた中国最大級の二輪車展示会ショーで、新型4気筒モデル『CB500 SUPER FOUR』を世界初公開している。普通二輪免許で乗れる400ccの日本仕様を待ち望む声は必然であった。

そこで中村さんが問い直したのが、「ホンダらしい4気筒とは何か」という原点だ。

その答えが、このDOHC4バルブの完全新設計ユニット。スペック至上主義ではなく、扱いやすく、回して楽しいエンジンへと仕上げられている。

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Conceptとホンダモーターサイクルジャパンの室岡克博社長(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Conceptとホンダモーターサイクルジャパンの室岡克博社長(大阪モーターサイクルショー2026)

いま筆者が立っているステージ上では、わずか数分前にホンダモーターサイクルジャパンの室岡克博代表取締役社長が、報道陣を前にこう説明した。

「街乗りからツーリングまで、あらゆるシーンでファンライドを堪能できる。それが400ccクラスの価値です」

1992年に初代が誕生したCB400スーパーフォアは教習車にも使われてきた、言うならばジャパンスタンダードだ。その系譜を受け継ぐ王道ヨンヒャクとなっていくことを考えれば、中村さんの言葉にも納得がいく。

◆美しいエキパイ、これぞホンダのヨンヒャクだ

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

そんな中村さんが「ぜひ見てほしい」と胸を張るのが、美しいエキゾーストパイプだ。4本のパイプが滑らかにうねりながら1本に収束していくその造形は、1974年に登場した『DREAM CB400FOUR』を彷彿とさせる集合マフラー。単なるオマージュにとどまらない、CBらしさの象徴がここにあるのだ。

そして、このモデルを語るうえで外せないのが、ホンダEクラッチの存在だ。新設計の直列4気筒エンジンとともに採用された新プラットフォームは、Eクラッチ搭載を前提に設計されたものだと、中村さんが教えてくれた。

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

クラッチ操作を自動制御しつつ、ライダーの意思に応じて従来どおりの操作を可能とするEクラッチは、快適性と操る楽しさを高次元で両立させる。

電子制御スロットルを採用したことで、より緻密でダイレクトなレスポンスを実現。Eクラッチのユニットが小型化され、パッケージングの自由度も高められた。

◆誰が見てもCB400スーフォア

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

車体も大きく進化している。先代はダブルクレードルフレームに、正立フォークとツインショックという構成だったが、新型はダウンチューブを持たず、エンジンを剛性部材として活用するダイヤモンドフレームを採用している。

フロントには倒立フォーク、リアにはリンク式モノショックを組み合わせ、よりスポーティなハンドリングを実現しているのは一目瞭然だ。

フルLEDの灯火類、TFT液晶メーター、USB-Cポートなど装備も抜かりない。それでいて、スタイリングは誰が見ても『CB400スーパーフォア』とわかるアイコニックなものだ。

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

ボリュームのあるタンクから、絞り込まれたシート前端、そしてシャープに跳ね上がるテールへと続く抑揚のあるライン。丸目2灯のテールランプへと至るそのシルエットは、長年愛されてきたスタイルをしっかりと受け継いでいる。

カラーリングもたまらない。メインステージに飾られたのはシルバーにブルーのグラフィックを組み合わせた、いわゆる“スペンサーカラー”。これは1999年に登場したHYPER VTEC搭載モデルを想起させる配色だ。

◆誰もが欲しいスタンダードネイキッド

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Concept(大阪モーターサイクルショー2026)

生産は国内、熊本を予定。ここまで完成度の高いパッケージを前にすると、結論はもはやシンプルだ。

新型『CB400スーパーフォア』が国内に導入されたら、間違いなく売れまくる。復活だからではない、懐かしいからでもない、今の時代に、ちゃんと欲しくなる400ccのオートバイだからだ。

とんがり過ぎてはいないスタンダード、これぞ正統派であり、今こそ求められている。

ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Conceptの開発責任者・中村拓郎さん(右)と筆者(左)ホンダ CB400 SUPER FOUR E-Clutch Conceptの開発責任者・中村拓郎さん(右)と筆者(左)

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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