妊産婦向けデジタルタクシーチケット普及へ、武蔵野市が都内初導入

タクシーアプリGO
タクシーアプリGO全 5 枚

東京都武蔵野市は4月、妊産婦向けにタクシーアプリ「GO」で利用できるデジタルタクシーチケットの配布を開始した。妊産婦支援におけるデジタルチケット導入は都内初であり、自治体による移動支援は紙からデジタルへ移行しつつある。

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◆武蔵野市、2万円分を電子配布

武蔵野市の「子育て世代外出支援事業」では、母子健康手帳を取得した妊産婦などを対象に、タクシーアプリGOで利用可能な電子チケットを配布する。

1回1万円分、最大2回で合計2万円分を付与し、妊婦健診や出産時の入退院、乳児健診、予防接種などの移動に利用できる。申請から利用、決済までスマートフォンで完結し、紙券や現金のやり取りは不要だ。

また茨城県つくば市でも4月から、妊産婦などを対象に、タクシーアプリGOで利用可能な電子チケット2万円分が提供される。

◆紙からデジタルへ、全国に広がる流れ

従来の妊産婦タクシー助成は紙チケットが主流であった。

これに対しデジタル型は
- スマートフォンで管理
- アプリ決済による自動精算
- 紛失リスクの低減
といった利点がある。

このため自治体のDX施策と連動し、デジタルタクシーチケットは全国的に導入が進みつつある。兵庫県姫路市や大阪府交野市など、妊産婦のタクシー利用を支援するためにタクシー電子クーポンを発行している。

デジタル化の進展を支えているのが、配車アプリとの連携だ。GOではチケットをアプリ内に登録し、配車から決済まで一体で処理できる。自治体の補助金がそのままデジタル決済に組み込まれる仕組みであり、今後の標準モデルとみられる。

◆東京都で進む「3段階モデル」

東京都では、妊産婦向け支援を起点に、制度の位置づけが拡張している。

(1)個別支援(武蔵野市)……妊産婦など特定対象に対し、デジタルチケットを直接給付する段階。
(2)属性横断(渋谷区など)……妊婦に加え、高齢者や子育て世帯など複数の対象をまとめて支援。デマンド交通や相乗りサービスと組み合わせる動きもある。
(3)交通政策(新宿区など)……電子チケットを公共交通の支払い手段として組み込み、都市全体の移動インフラとして活用する段階。

このように、施策は「福祉支援」から「都市交通インフラ」へと拡張している

横浜市、大阪市、福岡市、神戸市などの政令市では、妊産婦向けタクシー助成は依然として紙チケットが中心である。いっぽうで、MaaSやオンデマンド交通の実証は進んでおり、デジタルチケットとの統合は今後の課題となる。

大都市圏ではタクシー供給密度が高く、タクシーアプリに対応したタクシーも多いので、アプリと連動したデジタルタクシーチケットの利用は進むだろう。

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◆陣痛タクシーとの違い

妊産婦向けサービスとしては「陣痛タクシー(マタニティタクシー)」も知られるが、役割は異なる。

デジタルタクシーチケット
目的:日常的な移動支援
用途:健診、買い物、通院など
性質:費用補助

陣痛タクシー
目的:出産時の緊急対応
特徴:事前登録、優先配車、医療機関搬送

デジタルタクシーチケットの本質は「ラストワンマイル医療アクセス」にあり、通院・健診・産後ケアでの利用を想定している。両者は競合ではなく、日常と緊急を分担する補完関係にある。

◆今後の展開

今後のデジタルタクシーチケットの利用は
- 配車アプリ連携の拡大
- 複数交通手段との統合(MaaS)
- 医療・子育て支援との連動
といった方向で進化するとみられる。

武蔵野市の取り組みは、妊産婦向け移動支援のデジタル化を象徴する事例だろう。紙チケットからアプリ連携型へ、さらに都市交通政策へ。妊産婦支援は、モビリティと融合する新たな段階に入りつつある。

《高木啓》

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