来たる4月16日、オンラインセミナー「米・欧・中におけるEV戦略の見直し~地域別最適化と日本OEMの次の一手~」が開催される。セミナーに登壇するのは、ボストン コンサルティング グループ(BCG) マネージング・ディレクター&パートナー BCG産業財・自動車グループ 日本リーダーの滝澤琢氏。
セミナーは下記の内容で開催される。
1.EV市場の地域分断と戦略再設計
2.ICE/HEV延命がもたらす「収益機会」と「構造的負担」
3.SDV(Software Defined Vehicle)時代におけるE/Eアーキテクチャーの課題
4.日本メーカーの選択肢と分岐点
5.質疑応答
滝澤氏にセミナーの見どころを聞いた。
グローバル自動車市場で現在起きている電動化へのうねりは、ハイブリッド車の復権により日系メーカーに追い風が吹いているようにも見えるが、SDV(ソフトウエア定義車両)への移行も伴っており、構造的な変革が進んでいることを見過ごしてはならないと滝澤氏は指摘する。
EV市場の地域分断と各国の実情
数年前まで、自動車業界はEVシフトをいかに着実に進めるか、という単一のシナリオで語られることが多かった。ボストン コンサルティング グループ(BCG) マネージング・ディレクター&パートナーで BCG産業財・自動車グループ 日本リーダーの滝澤琢氏は「ICE(内燃機関)やHEV(ハイブリッド車)の部品はいずれピークアウトするため、関連する技術は売却する、ないしはラストマン・スタンディング(残存者利益)を狙う戦略が正しいと信じられていました」と振り返る。
しかしながら周知の通り、現在のグローバル市場はまったく異なる様相を呈している。
「2023年頃から一気にEVへのシフトが進むと思われていましたが、現在は中国、米国、欧州の3極で、それぞれ市場の状況がまったく異なる地域分断が起きています」と滝澤氏は説明する。
最も特徴的なのが中国市場であろう。
「中国ではICE車とBEV(バッテリー式電気自動車)の価格差がほぼ解消しています。これは中国系のBEV専業メーカーが、圧倒的な開発スピードと主要コンポーネントの垂直統合によって技術を手の内化し、極めて低コストでの製造を実現しているためです。BEVやPHEV(プラグインハイブリット車)は、補助金による需要喚起の段階を経て、本格普及期に入っています」
一方で、米国市場の現実は大きく異なる。BEVの普及が遅れ、ここへ来てHEVの需要が根強い。その要因の一つは、価格帯とモデル供給のミスマッチだ。
「米国における4万5000ドル以下の量販価格帯では、BEVのモデルラインアップが圧倒的に不足しています。3万ドル台で収益性の高いBEVを作るコスト競争力がどのメーカーにもないため、比較的高価格帯のセグメントにBEVが集中してしまっているのが課題です」
HEV好調の裏に潜む二重投資の重圧
米国を中心にハイブリッド車の需要が拡大していることは、ハイブリッド技術に強みを持つトヨタやホンダをはじめとする日系OEMにとって、良いニュースに聞こえる。しかし滝澤氏はこれが構造的負担になるおそれを指摘する。
「ハイブリッド車の需要が底堅いことは、一見すると日系OEMにとって収益機会に見えます。しかし、本来ならICEとハイブリッドの開発をどこかで打ち切り、BEVに開発工数を最適化するつもりだったのが、結果として両方に対応せざるを得なくなっています。将来的に勝ち続けるための二重投資という構造的な負担につながっており、状況を難しくしています」

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