富士スピードウェイ60年の軌跡、名レースと日本モータースポーツ黎明期を追う

富士スピードウェイ(SUPER GT)
富士スピードウェイ(SUPER GT)全 5 枚

三樹書房が『富士スピードウェイ』を刊行した。富士スピードウェイの誕生から40年間の名レースの歴史を、当時の写真とともに振り返る。日本の自動車産業の成長とモータースポーツ黎明期の歩みを重ねて描く内容だ。著者は林信次氏。

【画像全5枚】

同書は、富士スピードウェイのレース開催60周年にあわせ、同サーキットの歴史を振り返る内容となっている。アジア初のF1開催をはじめ、数多くの名レースの舞台となった富士スピードウェイについて、開設から40年間にわたるレースの歩みを、当時の写真とともに紹介する。

復刻では、デジタル技術によりカラーおよびモノクロ写真の画質を向上させたほか、用紙も見直した。また、2022年に開館した富士モータースポーツミュージアムの解説を新たに増補収録している。

モータースポーツの背景として同書は、日本の自動車産業の発展過程にも触れる。1945年の敗戦後、日本は復興を進め、1950年代には自動車産業が徐々に成長。1954年の第1回全日本自動車ショウでは来場者数55万人を記録したが、乗用車は6メーカー9モデルにとどまり、前年の乗用車生産台数も8800台にすぎなかった。

当時は、トヨタ自動車や日産自動車などが外国メーカーと技術提携しながら生産を進めるいっぽう、トヨタ『クラウン』や日産『スカイライン』といった自主開発車の展開も始まっていた。1955年には通産省が国民車構想を発表し、産業構造は農業から工業中心へと移行。1960年代に入ると、高度経済成長とともに東海道新幹線の開通や高速道路整備が進み、自動車の普及も加速した。

富士スピードウェイ(WEC)富士スピードウェイ(WEC)

こうした中、1963年に誕生した富士スピードウェイは、日本のモータースポーツ黎明期と歩調を合わせる形で発展していく。マイカーブームの到来とともに、モータースポーツも一般に広がり、同サーキットは国内外のレース文化の中心的存在となった。

同書は、富士スピードウェイの歴史を通じて、日本の自動車産業とモータースポーツの成長過程を多角的に描き出している。

『富士スピードウェイ』<復刻版>
最初の40年 1963‐2003
著者:林信次
発行:三樹書房
体裁:B5判・上製・232頁(カラー口絵16頁)
定価:4180円(本体価格3800円+消費税)

目次
序章 破壊と再建
第1章 高度成長の60年代
第2章 鈴鹿
第3章 FISCO誕生
第4章 全国に広がるレース熱
第5章 洗礼 第3回日本グランプリ
第6章 日本インディ
第7章 TNTの決戦
第8章 排ガス公害 メーカーの撤退
第9章 市販車対決
第10章 富士GCシリーズ誕生
第11章 オイルショックと惨事と
第12章 黒船襲来
第13章 GCは前座が命
第14章 廃止騒動
第15章 「WEC」と「インターTEC」
第16章 束の間のレース・ブーム
第17章 GCシリーズ19年後の閉幕
第18章 歪みを増す国内レース界
第19章 未来に向けて
第20章 富士山麓クルマ啼く

『富士スピードウェイ』『富士スピードウェイ』

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《高木啓》

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