来たる5月18日、オンラインセミナー「SDV時代における新しいxEV(電動車)の付加価値と新型bZ4X分解から読み解くハードウェアの開発方向性~中国製電動車とテスラの狭間で~」が開催される。
セミナーに登壇するのは、これまでも変化の節目で都度ご登壇いただいた名古屋大学の山本真義教授。中国のモデルを含む各社のEVのインバータを分解し、SNSなどでも積極的にシェアしていることをご存知の読者も多いことだろう。
今回のセミナーの主なテーマは以下の通り。
1. 新型bZ4Xの最新技術と思想
2. 新型bZ4X用インバータの分解解説
3. 旧型bZ4X用インバータとの技術比較解説
4. Han L(BYD)用インバータとの技術比較解説
5. サイバートラック(テスラ)用インバータとの技術比較解説
6. 現在のローム、東芝、三菱電機の三社連携の動きについて
7. デンソーによるローム買収の意図とデンソーが描くパワー半導体戦略地図
8. 対談・質疑応答
インタビューでは、山本教授に、最新の動向やセミナーの見どころを伺った。
新型bZ4Xの最新技術と思想
新型bZ4Xの特設サイトでは、主にユーザー体験の軸と開発ストーリーなどで新型モデルの魅力が語られている。そこには、従来のような仕様ベースの数字や、技術解説は、ほとんど見られない。一方で、最高のユーザー体験を実現するためには、その背後に技術の革新や、地道な改善が不可欠だ。今回、これまで数多くのEVを分解し、その技術要素、設計意図を読み解いてきた山本教授に、分解しなければみえてこない部分を解説いただいた。

新型bZ4X用インバータが目指した「薄型化」への挑戦との葛藤
EV用のインバータは、当初は出力、効率、小型化といった競争軸であった。しかしながら、昨今は、車両搭載時の搭載性向上も車両メーカーにとっての大きな魅力になった。今回の目玉の一つは、トヨタの新型「bZ4X」に搭載されたデンソー製SiCインバータの分解解析だ。これまで、数多くのインバータを分解されてきた山本教授の目と手は、その製品から、何を感じ、読み解いたのか。
今回の新型インバータの設計思想を一言で表現するとすれば「薄型化への執念」と山本教授は評する。顧客ニーズに応えるための細部にわたるまでの設計の追い込み、緻密な積み上げは、日本のサプライヤー企業の強みをフルに発揮したものになっている。
「今回のbZ4X用新型インバータは、車両搭載性を向上させるために、パワーカードを縦に並べた『積層両面冷却』から、平置きの『平置き両面冷却』へと変更し、徹底的な薄型化を目指しています。絶縁技術にも新開発の有機系高放熱シートを採用するなど、以前の設計を活かしつつも、細かい技術の積み上げにより薄型化を実現した設計は素晴らしいです」
ただし、日本メーカーならではの、こだわりの強さに関する葛藤も見えたという。
「顧客要求であり、製品の動向でもある薄型化を追求しつつも、自社の技術的なウリである『両面冷却』という手法へのこだわりも活かそうとした。これは、想像ですが、その結果、冷却器の一部が盛り上がり、理想的な薄さにあと一歩到達しきれなかったという、現場の葛藤が設計の跡から見て取れます。こうした、言わば『三河仕様』とも言える非常に真面目な設計が、グローバル競争の中でどう評価されるかが鍵になるのではないでしょうか」
セミナー当日は、山本教授が設計の勘所についても詳細に解説する予定だ。

BYDの「力の抜きどころ」とテスラの「冷却への執着」
では、グローバルでEV販売台数のトップ2である、中国BYDと米テスラのインバータは、どうなのか?当然、そのような興味がでてくる。山本教授の過去の分解調査の分析の結果、世界を席巻するBYDやテスラに搭載されているインバータとの比較で、驚くべき設計思想の差が浮き彫りになった。
まずは、BYDから見てみよう。BYDの「Han L(漢)」について、山本教授は次のように分析する。



