東日本旅客鉄道(JR東日本)と西武鉄道は5月19日、JR武蔵野線と西武池袋線の間にある連絡線を活用し、直通運転を実施することで合意したと発表した。2028年度の運行開始を予定しており、「快適でシームレスな移動」と沿線価値向上をめざす。
JR東日本と西武ホールディングスは2020年12月から、による包括的連携のもと、多様な分野で協業を進めてきた。今回の直通運転は、その取り組みの一環となる。
●回送用線路を活用してシームレス移動
JR東日本の新秋津駅(東京都東村山市)と西武鉄道の所沢駅(埼玉県所沢市)の間には、車両搬入や西武多摩川線の車両検査時などに使用する連絡線が存在する。現在は車両輸送専用だが、今後は旅客輸送にも活用する。
直通列車は、新秋津駅構内と所沢駅を接続点とし、JR線沿線と西武線沿線の観光地やイベント会場を結ぶ計画だ。検討中の運行プランでは、JR線側は小田原・湘南エリア、房総エリア、新幹線接続、東京ディズニーリゾート方面、西武線側は秩父エリアやベルーナドームなどを想定している。
これにより、所沢駅以遠から熱海駅、勝浦駅、舞浜駅などへのシームレスな移動を実現する。乗換回数を削減することで、移動時間そのものを楽しめるサービスが可能となる。
連絡線トンネルの西武側出入り口。秋津神社の真下になる。右奥が新秋津方面、左手前が所沢方面
●新型観光特急を投入
使用車両は、西武鉄道10000系「ニューレッドアロー」をリニューアルした新宿線向け西武観光特急を予定している。JR東日本線への乗り入れに必要な改造を施したうえで導入する。この観光特急は、西武鉄道が4月21日に発表した新たな観光列車計画に基づくものだ。1993年から新宿線特急「小江戸」として運行してきた10000系1編成を改造し、2028年度から運行を開始する。
車両デザインは、『機動戦士ガンダム』などで知られるメカニックデザイナーの大河原邦男による監修だ。大河原氏が鉄道車両の外装・内装デザインを一貫して手掛けるのは初めてという。車内には一般席に加え、半個室やソファ席を設置するほか、バーカウンターも新設する。軽食やドリンクを提供し、移動時間を楽しめる空間をめざす。
左上が西武池袋線で、秋津駅は奥。手前を左右に通るのが武蔵野線で、画面右に新秋津駅のプラットホームが見える●新秋津駅と秋津駅の間に乗換通路を新設
また両社は、新秋津駅~秋津駅間の乗換改善にも取り組む。現在、両駅の改札間の距離は約400mあり、ホーム間の移動だと市街地を抜けて約600m、徒歩約8分を要する。朝夕の通勤通学時間帯には、歩車分離されていない道路に利用者が集中する課題もある。
今後は両社の所有地を活用し、全天候型のバリアフリー乗換通路を整備する方針だ。2030年代前半の供用開始をめざし、関係者との検討を進める。




