【日産 リーフ 新型】開発責任者が語る、火あぶり、水攻め、落下…“拷問のよう”なテストで得た信頼性と、求められた先進感

日産 リーフ 新型
日産 リーフ 新型全 19 枚

日産自動車が今年1月より納車を開始した電気自動車(EV)の新型『リーフ』。同月には廉価モデル「B5」を発表し、販売に弾みをつけている。3代目となったリーフは、「EVの実用性とともにクルマそのものの魅力をより向上させた」と開発責任者は語る。キーワードは“~始め”だというが、そのココロとは。

◆新型リーフは「日本食」

開発責任者である磯部博樹さんによると、3代目リーフを開発するにあたり、EVとしての実用性向上、つまり不満を徹底的に排除することとともに、クルマとしての魅力を向上させることに注力したという。「スーッと滑らかにいつまでも乗り続けられるようなクルマをキーワードに、使いやすいクルマを目指して開発しています」という。

キーワードは“~始め”だ。「ペダルの踏み始め、ステアリングの切り始め、とにかくその“始め”を大切にしました」。アクセルペダルをふっと踏み込むと過敏ではなく滑らかに加速する。ステアリングの切り始めから切り増していってもスーッと素直にクルマが動く。「リニアにグライダーが滑降するような印象ですね。これを実現したかったんです」とのこと。そこで新プラットフォームに合わせてステアリング関連のシステムもすべて一新して実現した。

日産 リーフ

そして磯部さんはリーフを食事に例えると日本食だという。「(日本人にとって)洋食は確かに食べている時は楽しいですし、美味しいんですけど、毎日食べていたら飽きてしまいますよね。ですから我々が目指すのは和食だなと。毎日食べても飽きないし、懐石料理のようにきちんと設えてあって、ひと手間かけた技術があって、食べた時にこんなところにも気が利いてるんだと感じさせる。まさに日本料理なんです」と語る。

具体的には、プロパイロット2.0やインテリジェントディスタンスコントロールなどといった先進機能がそれにあたり、「それらが痒いところに手が届く、まさにひと手間入っているんです」と述べた。

◆大容量バッテリーではなく、空力と充電性能に着目

日産 リーフ

充電性能や航続距離といったEVに関する世の中のネガティブな意見を徹底的に排除するため、実用性向上をめざした。

航続距離はWLTCモード値で702kmを達成したが、これも「いたずらに大きなバッテリーを積むのではなく、どうやったら効率よく航続距離を伸ばせるかを考えました」。そこで最もインパクトのある空力に着目。高速移動での電費悪化を避けることが大きな目的だ。結果として欧州向けはCd値0.25、国内およびアメリカ向けでは0.26を達成した。磯部さんによると、「前型に比べて100km/hで走っている時の航続距離は10%くらい伸びています。デザイナーと協力をして今回このスリークな形を実現しました」と話す。

日産 リーフ 新型

また意外にも、「これまでいろんなクルマを開発して来たんですが、プログラムデザインダイレクターと一緒に風洞にこもって、粘土を盛ったり削ったりしたのは今回が初めて」だったと明かす。「デザイナーはきりっとした顔の格好良いクルマにしたい。でもキリッとさせると空力が悪化してしまうので、もうちょっと丸めてとか、顔の表情を見ながらミリ単位で形を決めていきました」と教えてくれた。

充電性能については、先代までのバッテリーの冷却は空冷だったが、夏冬の充電がしにくいという市場の声から、「季節による影響をなるべく排除すべく統合の熱マネジメントシステムを採用しました」。これはモーターやバッテリーで発生する熱を、室内の暖房に使用したり、充電中に発生する充電器の熱をバッテリーに回したりするなど発生する熱を無駄なく使い尽くすコンセプトなのだ。

◆火あぶり、水攻め、落下…“拷問のよう”なテストで得た信頼性

日産 リーフ 新型の開発責任者をつとめた磯部博樹さん

新型リーフのターゲットユーザーについて磯部さんは、「日本では年配のお客様がメインです。そういったお客様が普段使っていて違和感がないようにしたいんです」と“~始め”にこだわった理由がここにもあることが分かる。一方でアメリカでは、「何かというとすぐにもっとハンドリングマシンにしてくれみたいなことをいわれるんですが、そうではなくてとにかく滑らかさが身上なんだということをずっと説いてきました」とし、あくまでも違和感のないクルマであることを強調する。


《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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