来たる6月25日、オンラインセミナー「次のステップを模索する中国自動車メーカーの戦略を俯瞰する」が開催される。
セミナーに登壇するのは、日系企業の中国現地でのイノベーション創出やリサーチの最前線に立つ「匠新」の創業者CEOである田中年一氏と、同社アナリストの朱真明氏だ。

今回のセミナーの主なテーマは以下の通り。
1.直近の中国自動車市場の変化
2.北京モーターショーでみえていたこと
3.日々の動向からわかる各社戦略
4.全体視点でみてわかること
5.質疑応答・対談
インタビューでは、北京モーターショーの現場、そして日々の地道な現地調査から見えてきた「スペック競争の先にある中国自動車産業の真の地殻変動」について、セミナーの見どころを語ってもらった。
激変する中国市場 ―「販売の落ち着き」が意味する次のステージ
これまで驚異的な右肩上がりを続けてきた中国のNEV市場だが、直近では販売台数が一時的に頭打ちになり、順調だった自動車メーカーの国内販売にも落ち着きが見られるといったニュースが飛び交っている。これを日本のメディアは「中国EVの失速」と報じることも少なくないが、現地で定点観測を続ける朱氏は、その見方を明確に否定する。
「単に落ち込んだというよりは、市場が一巡して『一旦落ち着いた、飽和状況にある』というニュアンスが正しいです。これまでは、スマートフォンを買い替えるような感覚で、性能の限界もあって3年走ったら次の新しいEVへ、という買い替えサイクルが主流でした。しかし、バッテリーの性能が上がり、車両の寿命や品質自体が向上したことで、ユーザーが今の車を長く乗るようになり、行き渡った状態になったのです」
市場が成熟したことで、従来のような「安くてそこそこ動くEV」ではユーザーの心を動かせなくなっている。だからこそ、自動車メーカー各社は「次のステージ」へ向けて、全く異なるアプローチで買い替え需要を喚起しようとしている。
スペック至上主義の終焉と「統合力」という新たな競争軸
少し前までの中国だけでなく、世界的な流れとしてBEVといえば、「航続距離が何百キロ」「最新のセンサーを何個搭載」といった、個別機能やスペックの数字、で差別化を図るケースが多くみられた。しかし、今回の北京モーターショーを機に、その競争ルールは完全に過去のものになったという。
「以前は自動運転や自動駐車、音声AI、スマートコックピットといった『点』の機能で差別化していましたが、現在は違います。車体設備、AI、OS、そしてチップにいたるまで、これら全てをどれだけ高度に『統合』し、ひとつの車種としてパッケージングできるかという『統合力』が真の勝負どころになっています」
と朱氏が語るように、この統合力の勝負において、現在の中国市場は面白いことに「二極化」の様相を呈している。
ひとつは、自社でバッテリーから半導体、アルゴリズムまでを垂直統合し、車体も含めて、完全に内製化して勝負するBYDのような「垂直統合自動車メーカー」。中国以外では、Teslaが同じタイプだ。
そしてもうひとつが、圧倒的な存在感を放つプラットフォーマーの力を借りて、一気に技術的な飛び級を狙うアプローチである。その筆頭が、今や自動車産業における「Tier0.5」とも評されるHuaweiの取り組みだ。

自動車メーカー、自動車部品メーカーの脅威ともなりえる「Tier0.5」Huaweiの凄み
自動車を自社ブランドでは直接製造しないものの、車に必要なあらゆる最先端システムを揃え、OEM(自動車メーカー)を裏から支え、時に主導するのがHuaweiという存在だ。HuaweiはもはやTier1(一次サプライヤー)ではなく『Tier0.5』であり、本当にOEMとTier1の中間、あるいはそれ以上の力を持っている。
「今回の北京モーターショーでも、OEMの巨大ブースに匹敵するか、それ以上の規模と存在感をサプライヤーが出していました。Huaweiはスマートコクピットや車載OS(HarmonyOS)といったシステムメインの領域だけでなく、音響システムや、非常に重要となるLiDARなどのセンサー類までをも自社開発し、一括供給できる体制を整えています」と朱氏は分析する。

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