「ジャパントラックショー2026」(5月14~16日/パシフィコ横浜)に出展した三菱ふそう。新型『キャンター』の出展をはじめ、フラッグシップの大型トラック『スーパーグレード』、さらには『eキャンター』や水素を燃料としたトラックなどの提案も実施するブースとなった。
数々の難問に直面している物流業界、カーボンニュートラルやコスト高への対応、さらには労働力不足などに直面し変革を迫られている。そんな物流業界に対する三菱ふそうからの提案として掲げられたトラックショー2026における出展コンセプトが「ともに走り、今を動かす」だった。そこには次世代ビークルの開発に加えて、今できることを商品として提案することを重要課題とした同社の姿勢が現れているといえるだろう。
「ジャパントラックショー2026」三菱ふそうブース
◆“十人十色のビジネスに。”…新型キャンターに込めた思い
その代表例となったのが2026年2月にマイナーチェンジを受けたキャンターだ。EVトラックへのシフトだけではなく、既存の小型トラックの中心車種であるキャンターを進化させることで、同社が考える“今できること”に力を注いだマイナーチェンジとなった。
新型では燃費・走行性能、安全性、快適性の3本柱の進化を遂げ、今の物流業界に必要なポイントを抑えたのが注目点となった。真っ先に注目したのは燃費性能だ。大幅改良を施したエンジン(4P10+)は全車で「2025年度重量車燃費基準(JH25モード)」を達成(一部車種は同燃費基準値+10%を達成)。
燃費向上のために施した進化点としては燃料噴射のノズルを広角度化することで燃焼を最適化した点、さらにはパーツをアルミから鉄に変更することで熱膨張を抑えたこともフリクションロスの低減に効果を発揮している。加えて新しくなったエンジンに合わせて可変ジオメトリーターボの制御も変更。これらのコンビネーションで燃費性能を向上させている。
三菱ふそう キャンターさらに空力面での進化もポイントのひとつ。新型キャンターのバンパーまわりを見るとグリル部分が変更されているのがわかる。バンパーとの間に空気の通り道を作ったり面積を最適化することで空力をアップさせているのが読み取れる。さらにドアバイザーの標準装備化でも空力性能をアップさせている。
次に新型キャンターのもうひとつのアピールポイントとなったのが、さまざまなユーザーが使いやすいトラックであることを目指した装備が込められた進化だ。“十人十色のビジネスに。”というキャッチコピーが付けられていることからもわかる通り、労働力不足が言われる物流業界では、女性ドライバーや経験値の浅いドライバーなどの労働力も必要不可欠となっている。そのような幅広いドライバーにも使いやすいトラックであることや、業種・業態・地域を問わずに幅広いお客様のビジネスにも貢献したいということが新型キャンターに込めた思いだった。
◆操作性・安全性の進化、New Era®とのコラボによるインパクト
三菱ふそう キャンターその最たるポイントがコクピットの操作性だ。電動パーキングブレーキ(EPB)やステアリングスイッチの装備、さらにはモニターの10インチ化や液晶メーターの採用など、使いやすいコクピットを高めた。電動パーキングブレーキは坂道などでドアを開けると自動的にブレーキがかかり、万が一の事故も防ぐ構造になっているなど、トラックのベテランだけが使いこなせるクルマではなく、幅広い層が安心して利用できる小型トラックへと進化したのだ。
さらに安全性の面でも進化ポイントは多い。小型トラックというポジションから狭い住宅街を走行するシーンも想定される。その際に安全性を高める機能としてアクティブ・サイドガード・アシスト1.0(左折時の巻き込み防止)やアクティブ・ブレーキ・アシスト5(衝突被害軽減ブレーキを装備)などを備える。これらの経験値の浅いドライバーをサポートする安全機能の充実にも注目が集まる。
「New Era×CANTER」コラボレーションキャップさて、そんな新型キャンターだが、面白い取り組みとして注目したのはスポーツ・ライフスタイルブランドであるNew Era®とのコラボだ。ブースにはコラボレーションを記念した展示用特別仕様のキャンターが展示され、さらにはNew Era®×CANTERのコラボレーションキャップが抽選で当たるコラボ見積キャンペーンの実施も告知された。三菱ふそう ショップでアパレルをはじめとした各種コラボ製品が手に入るのにも注目。
トラックを知ってもらう「認知度アップ」としてはインパクトのあるこの取り組み、地道な活動ながら物流業界への興味関心だけでなく、その先のリクルートにつなげる三菱ふそうによる業界活性化の新しい取り組みとなった。
◆デビュー30周年を迎えたスーパーグレート
三菱ふそう スーパーグレート セミトラクタ 第5輪荷重20トン三菱ふそうブースには、新型キャンターやNew Era®コラボのキャンターの展示に加えて、物流業界を支える大型トラックも展示された。それが同社のフラッグシップモデルであるスーパーグレートだ。1996年のデビュー以来30周年にあたる今年は、スーパーグレートにとっては新しい起点となる年となる。
ところで30年間の長きにわたってスーパーグレートが市場から評価されてきた理由は何なのだろう? その理由を同社では“時代に合わせた進化”と表現する。大型・ハイパワー化の時代を経て、2000年代になると自動運転にも取り組み2019年には自動運転レベル2の搭載なども実現。常にドライバーの最新のニーズに合わせた進化が注ぎ込まれるのが、スーパーグレートが大型トラックの定番モデルとして利用され続ける理由でもあるだろう。
ブースに展示されたのはスーパーグレートに復活したセミトラクタ型の車両で、待望のモデルだけに多くの来場者の視線を集め、運転席への試乗体験には常に長蛇の列ができていた。
「6R30」エンジンその横には、もうひとつの目玉となる6R30エンジンのカットモデルが展示された。このサイズのカットモデルはなかなかお目にかかれないので、多くの来場者が集まり担当技術者に多くの質問を投げかけていたのが印象的だった。6R10、6R20と進化を続けてきた同エンジンシリーズ、6R30型は燃費性能アップのために細部を見直したのが特徴となった。
エンジンオイルが従来の5W-30から0W-20仕様へと進化、低フリクションロスによる燃費向上を狙う。また油圧コントローラー制御やインジェクター・燃焼室の最適化でも燃費性能を進化させた。さらにターボの軸受けをプレーンメタルからベアリングへと変更する進化も加えた。完成の域に達している同エンジンだがファインチューニングでさらなる燃費アップを果たした。
◆三菱ふそうが提示する「今を動かす力」
三菱ふそうの電気小型トラック「eキャンター」そして三菱ふそうでは次世代技術の取り組みも加速させている。EVトラックとしてeキャンターの実績に加えて、脱炭素化へ向けてトラックのEV、FCEV化へのビジョンも示された。
小型・中型トラックへはEVの適性が高いのに対して、大型トラックには水素の利用が次世代モデルの開発の柱になっている。ボード展示では水素エンジントラックと液体水素燃料電池トラックを提案。水素エンジンは既存のディーゼルエンジンを活用(80%程度)できることからイニシャルコストを下げることができる技術であると期待されている。次世代の大型トラックの開発がカーボンニュートラルの選択肢として水素化をスピードアップさせていくことが予想される。
一方、EVトラックを運用する上で課題となる充電システムとしては、駐車スペースに設置するワイヤレス充電システムの実証実験を紹介。トラックという性格上、拠点に戻って駐車している間に充電が完了する手間いらずのシステムであることがアピールされた。
脱炭素化社会に向けた三菱ふそうの取り組み次世代技術としては自動運転のレベルについてもロードマップが示された。業界を先んじて実用化しているレベル2に加えて、完全自動化に向けた開発も積極的に進められていることがうかがえた。
物流業界が直面する課題をトラック側から解決する道を探った三菱ふそうブース。出展コンセプトである「ともに走り、今を動かす」が示す通り、未来に向けた開発だけではなく“今を動かす”取り組みに力を入れる姿勢が伝わってきた。新型キャンターによる省燃費化、労働力不足を補う幅広いドライバーへの対応なども代表的な提案となった。さらにはNew Era®コラボなど、高品質な製品を作るメーカーに止まることなく、物流業界全体を見た上で次の一手を常に考えるメーカーであることが理解できるブースとなっていた。
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