衝突回避! ロボタクシーの性能向上へ ウェイモの「人間ドライバー行動モデル」

Waymo、ロボタクシーの性能向上のために仮想の「人間ドライバー行動モデル」を開発
Waymo、ロボタクシーの性能向上のために仮想の「人間ドライバー行動モデル」を開発全 2 枚

Waymoは、オランダのデルフト工科大学(TU Delft)と共同で、生身のドライバーが運転中に衝突を回避する行動をモデル化するアクティブ推論フレームワークの研究論文をNature Communicationsに発表しました。

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この研究ではWaymoはこのモデルを「ReD(Reference Driver)」と呼び、自社の自動運転システム「Waymo Driver」の衝突回避能力を評価するために使用していると述べています。

これまで自動車業界では、車両の安全性を評価するために物理的・仮想的なダミー人形を用いて、ハードウェアや構造的完全性といった車の安全性能を評価してきました。しかし、ダミーでは自動運転システムを評価することはできません。

ReDはこの概念を進化させて、差し迫った衝突の危機に対して「注意深く有能な人間のドライバーはどのように対応するか」という問題に対するコンピューターベースの新しい認知モデルを構築しました。これは、神経科学における「能動的推論(active inference)」という概念に基づいています。

そして、リアルな仮想世界のなかで仮想ドライバーに対し「状況の変化に応じてどのように自分の考えを更新し、他の道路利用者の意図に関する不確実性を管理し、ブレーキ、急ハンドル、またはその両方の組み合わせといった回避行動を選択するか」といった一連のシミュレーションシナリオを実行し、自社の自動運転車と比較することで、どちらが衝突回避能力に長けているかを検証しました。

従来のモデルが「直前の反応」に焦点を当てていたのに対し、ReDは「なぜそのタイミングでブレーキを踏むのか」「なぜハンドルを切るのか」という意思決定の流れまで含めて模倣できるとされています。また、ReDは衝突直前の反応的な回避だけでなく、危険な状況に入り込む前に予防的に回避する「プロアクティブな回避行動」もモデル化できるとしています。

TU Delftの助教授であるアルカディ・ズゴンニコフ氏は「能動的推論を基盤とすることで、人間の衝突応答を包括的に表現できるようになった。ドライバーが判断に迷う時に感じる内的な『驚き』をシミュレートでき、これまで大規模に自動化することが不可能だった、より人間らしいベンチマークを自動運転システムに提供できる」としています。

能動的推論の提唱者で神経科学者のカール・フリストン教授は、「これは注目すべき研究だ。能動的推論がまさに目指していたもの、すなわち自律的なシステムに状況認識と制約された情報探索能力を与えることを実現している」と評価しています。

Waymoの最高安全責任者であるマウリシオ・ペーニャ 氏は「自動運転の安全評価は多面的であり、人間がどのように衝突を処理するかを理解することが重要な要素だ。有能な人間の応答の参照モデルを確立することで、業界全体が衝突回避行動を評価するための科学的根拠に基づいた共通アプローチに向けて進む助けになる」としています。

Waymoは、これらの参照モデルに関するコンセンサスを確立するため、研究者、規制当局、および自動車技術会(SAE)のような標準化団体と積極的に協力していると述べています。その目的は、自動運転車業界において、「慎重かつ適切な」人間の反応とは何かについて、科学的根拠に基づいた共通の定義を確立することにあります。その一環として、同社はReDモデルの研究コードを研究・教育・個人実験・学術論文への利用を認める非商用ライセンスのもとで公開しています。


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