<講師>
在独ジャーナリスト 熊谷 徹 氏
ドイツ自動車業界は、依然として深刻な危機から抜け出していない。2026年5月にドイツで生産された乗用車の台数は前年同期比で18%、輸出台数も19%減った。自動車工業会(VDA)は、モビリティー電化や人件費の高さなどが原因となって、自動車産業で雇用されている市民の数は、2035年には2019年比で23万5000人減るという悲観的な予測を発表した。
一方、BEVの販売台数は徐々に増えつつある。欧州連合(EU)のCO2排出量規制強化とOEMによる値引きの影響で、ドイツでは2025年にBEVの新規登録台数が前年比で43%増加した。今年1月~4月のドイツでのBEV販売台数も前年同期比で41%増えた。
メルツ政権は自動車産業のために様々な支援策を打ち出している。たとえば同政権は、前政権が廃止したBEV購入補助金を復活させた。2026年から3年間にわたり、低所得・中所得層向けに、約80万台のBEVやPHEVなどに対して、約30億ユーロ(5550億円)の補助金を交付する。補助金復活により、2026年にドイツでのBEV販売台数はさらに増えると予想される。
メルツ政権の支援策は自動車業界の成長率を回復させるだろうか?36年前からドイツで取材・執筆している元NHKワシントン特派員が、自動車業界の最新状況を現地から報告する。
1. 2025年のドイツ自動車業界の苦境
2. ドイツ自動車工業会(VDA)が雇用削減について悲観的な予測
3. 2025年にドイツのBEV新規登録台数が急増
4. メルツ政権の自動車業界への支援措置
5 . 欧州市場に対する攻勢を強める中国メーカー
6. 質疑応答



