【マツダ CX-5 新型試乗】これは進化か、後退か?「絶対に失敗が許されない」主力SUVの実力は

【マツダ CX-5 新型試乗】これは進化か、後退か?「絶対に失敗が許されない」主力SUVの実力は
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【マツダ CX-5 新型試乗】これは進化か、後退か?「絶対に失敗が許されない」主力SUVの実力は【マツダ CX-5 新型試乗】これは進化か、後退か?「絶対に失敗が許されない」主力SUVの実力は

マツダCX-5 L(4WD)【試乗記】

マツダの販売の中軸を担うミドルクラスSUV「CX-5」が、3代目にフルモデルチェンジ。その完成度にはどうしても期待してしまうところだが、実車の仕上がりはどうだったのか? 絶対に失敗の許されない、マツダの基幹車種の実力に触れた。

滑り出しは好調

3代目となったマツダCX-5の販売が好調だそうで、発売から1カ月での受注台数は1万台を超え、月販目標2000台の5倍以上を記録している。直近7月の登録台数は対前年比で2倍以上の4240台。6月も同様のペースだった一方で、ウェブサイトに掲載される納期は、バックオーダーが積み上がった現時点でも1.5~2カ月とほぼ平常運転だ。

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なにせアーキテクチャーを引き継ぐ先代はマツダの基幹車種であったし、生産側の動きもこなれている。やる気になれば月産6000台くらいはブン回せるのではないだろうか。売ってるのかいないのか定かではない陽炎のようなモデルを多く抱えるトヨタには、見習っていただきたく思うほどだ。

マツダとしては、ともあれこれを売りまくって、新型車不足の販売現場にも潤いを取り戻したいことだろう。6月の国内販売は9カ月ぶりに上向いたというから、まずはホッとひと息といったところではないか。かれこれ四半世紀以上もマツダのクルマに乗り続け、ずっと同じ店に出入りしている拙的にも、ちょっと他人事ではない感がある。

車検に点検と、折りにつけて訪店しては、幾度となく繰り返されるマツダの流転を横目で垣間見てきた。かつては帰り際に実家の老いた母親のようにすっ飛んできたかと思えば、来場記念の台所洗剤や箱ティッシュを握らせてくれたセールス氏は健在だ。今では黒くなったお店で、陶器の器に淹れられたコーヒーのお供にカラメルビスケットなんかを差し出してくれるようになった。

3代目となる新型「CX-5」は、「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」というコンセプトのもとに開発を実施。ユーザーの声に耳を傾け、先代よりサイズと車内空間を拡大し、機能・装備も強化するなど、スタンダードなミドルクラスSUVとして商品力を高めてきた。

台所洗剤からビスケットに

一括企画にコモンアーキテクチャー、そしてモデルベースデベロップメントと、今日のマツダを支える3本柱の開発思想は、2011年以降のスカイアクティブテクノロジー展開において花開く。そこには商品企画において、世界販売台数の2%をシェアとできれば御の字という前提があった。だからこそ自らの哲学を盾に理想論をぶつこともできたし、それが商品の説得力にもつながっていたわけだ。不特定多数に売りまくるやり方ではトヨタにかなうわけがない。であれば、強いメッセージが刺さった人から愛してもらったほうがいい。それがマツダの戦法だった。

とはいえ、そんな芸術家肌で仕事が回せるほど自動車のビジネスはチョロくはない。マツダは自らの成長とともに地域の経済も回しつつ、社員も販売店もサプライチェーンもしっかり食わせなければならない。世界の2%という物量でそれを達成しようというのであれば、工数や部品の単価はおのずと高まるわけで、裏返せば商品の高付加価値化によって客単価を高めることが、その円環を完成させる鍵となるわけだ。それが前述の黒いお店やカラメルビスケットに表れている。洗剤時代、ことあるごとに広げていた紅白の横断幕はその改装の際に処分されただろうか。

そんな強い意志のもとに送り出されたラージプラットフォーム群が苦戦している以上、いつまでも意地を張ってはいられない。加えて、世界各地でのいさかいや米国の関税によって事業環境も大きく変わってしまった。新しいCX-5の中身からは、そういう厳しい事情が垣間見える。一方で、エンジニアリング的な孤高は迎合へと一部が変質してしまった。初出時の試乗から時を置いてあらためて乗ると、やはり頭に残るのはそういう印象だった。

パワーユニットは自然吸気の2.5リッターガソリンエンジンにマイルドハイブリッド機構を組み合わせたもの。日本のマツダ車では初の設定で、エタノールを10%混ぜた「E10燃料」にも対応する。

330万円からという価格のアドバンテージ

新しいCX-5の車格は、肥大化するC~DセグメントSUVの中央値に合わせるように大きくなった。骨格的にはホイールベースを115mm延長したかたちで、その伸びしろを後席側と荷室側に配分している。そういう意味では、2017年に登場した先代が時代的には中途半端なサイズになっていたという見方もできるだろうか。

得られた広さは確実に魅力へとつながっている。後席の足元空間はクラス屈指、今はなき「CX-8」を思い出させるほどだ。その後席をたためば荷室長は1845mmと大人が余裕で寝られるほどで、後席ヘッドレストをひっくり返して装着すれば頭を置く枕代わりになるという裏技も新車発表時には披露されていた。このカテゴリーで広さを求めるのならリストの筆頭に挙がるだろう、そのくらいの説得力がある。

それをつかみに吟味していくと際立ってくるのがコスパだ。もはやこのカテゴリーは大半のパワートレインがハイブリッド化されているが、そのリーダーともいえるトヨタの「RAV4」や「ハリアー」は、440万円前後をスタートプライスとしている。対して新しいCX-5は現時点では2.5リッターのガソリン4気筒のみ。そのぶん価格は330万円からと差は100万円以上だ。1.8リッター4気筒ターボを搭載する「スバル・フォレスター」のベース価格と、CX-5の四駆のベース価格を比べても50万円以上とその差は大きい。しかもCX-5の側は、値の張るインフォテインメントまわりも含めて、快適装備もある程度はカバーしたうえでの値づけだ。なにを選べど400万円向こうからの話と化していたCセグメントSUVにおいて、この値札は購入検討者の背中を押すのに十分な魅力がある。

「L」グレードで選択できるタンカラーのレザーシート。前席には電動調整機構や(運転席:10way、助手席:6way)、シートヒーター、ベンチレーション機能などが装備される。

これは進化か、後退か

ソフトウエア領域でマツダとの関係を深めているパナソニックが開発に加わったインフォテインメントシステムも、動きにストレスがなく扱いやすい。GoogleのOSをビルトインしたことで、音声認識によるコントロールの範囲や確度も随分とリファインされた。もちろん走行機能については独立制御となっており、走ることについてはマツダが100%預かる方向なので安心感はある。

が、これによってハードウエアの多くが自慢の大画面モニターに内包される一方で、空調やボリュームノブなど、直感的に頻用するスイッチも取っ払われてしまった。代わってくだんの音声認識やステアリングスイッチ、画面を触れてコントロールパネルを呼び出すなどの方法で指示することになるわけだが、これはたとえ慣れたとしても指先の狙いを定める際に視線を奪われることになる。法規対応もあってデフロスターのスイッチはハザード(自発光式で視認度が高く使いやすい)の脇に置かれるが、これは0次安全の重要性を説いてきたマツダとしては後退といわざるを得ない。

走らせてみても、なにかモヤモヤがつきまとう。確かに静粛性は高く、乗り心地もいい。記憶のなかの前型からは著しく進化したところだろう。24Vのベルト式スタータージェネレーターは4.8kWと小出力だが、1000~2000rpmあたりでパーシャルから薄く踏み込んで緩加速を求める際などにトルクの加勢が感じられる。一方で、中高回転域では余裕綽々というわけにはいかず、ギア比との折り合いかエミッション的課題か、4000rpm前後を頑なに多用するような場面も見受けられた。

全車に標準で装備される10.25インチのフル液晶メーター。「G/L」グレードには、フロントガラス照射式のカラーヘッドアップディスプレイも装備される。

ネガは解消されたものの……

もっとも、これらについてはクルマ固有のクセとして納得できる範疇でもあるかと思う。それより気になるのは、アクセルやブレーキの踏み始め、ステアリングの切り始めといったクルマの動きの立ち上がりの部分の感触に、わずかながらも性急さが表れることだ。端的にいえば早開きの早効きに早曲がりと、マツダが一番こだわっていた躍度というかジャークの推移というか……が、ちょっとおろそかに扱われているのではないかという印象が拭えない。これが気になり始めると、マツダなのに……という思いが常に脳裏に居座るようになる。ただし、ブレーキについては前に乗った試乗車ではそういったクセは気にならなかった覚えがあり、個体差によるものと思われなくもない。

新しいCX-5には、ディメンションの変化やマイルドハイブリッドおよび電動サーボの制御など、今までとは異なる要素も確かにある。しかしそれより、既納客の不満を吸い上げ、ステアリングが重いとか乗り味が硬いとか、そういうネガをスポット的に見直していった結果、全体最適による運転操作のつながりのスムーズさが削がれてしまったのではないかという懸念を抱いてしまうのも事実だ。

次に載るのは独自のハイブリッドシステムを組み合わせた「SKYACTIV-Z(スカイアクティブZ)」だというが、それによって重量がどのくらい変わってくるかで、動的質感は根本的に変わるだろう。現時点でのライバルとの価格差を勘案するに、コスパ的な戦闘力はある程度保たれるはずだ。そこで果たしてどのような走りを見せてくれるかが、クルマ好きにとっての評価の分かれ目になると思う。

(文=渡辺敏史/写真=郡大二郎/編集=堀田剛資/車両協力=マツダ)

純正アクセサリーとしては、アクティブな「アーバンアドベンチャースタイル」、スポーティーな「シグネチャースタイル」といったエクステリアパッケージも用意。試乗車には後者が採用されていた。

テスト車のデータ

マツダCX-5 L

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1860×1695mm
ホイールベース:2815mm
車重:1770kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:178PS(131kW)/6000-6200rpm
エンジン最大トルク:237N・m(24.2kgf・m)/3800-4000rpm
モーター最高出力:6.5PS(4.8kW)/1000rpm
モーター最大トルク:60.5N・m(6.2kgf・m)/100rpm
タイヤ:(前)225/55R19 99V/(後)225/55R19 99V(ブリヂストン・アレンザ001)
燃費:14.2km/リッター(WLTCモード)
価格:430万6500円/テスト車=496万0402円
オプション装備:ボディーカラー<ロジウムホワイトプレミアムメタリック>(5万5000円)/シートカラー・インテリアコーディネーション<スポーツタン>(4万4000円)/パノラマサンルーフ(12万1000円) ※以下、販売店オプション SIGNATURE STYLE<ロジウムホワイトプレミアムメタリック専用>(36万9662円)/トノカバー(2万6290円)/リフトゲートライト(3万3000円)/ディスプレイ保護フィルム(4950円)

テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:3268km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(5)/山岳路(1)
テスト距離:328.1km
使用燃料:25.0リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:13.1km/リッター(満タン法)/12.5km/リッター(車載燃費計計測値)

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《webCG》

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