堀場製作所(HORIBA)は、燃料電池用触媒材料の研究開発を効率化する「自動・自律実験システム」の開発を本格化し、マテリアルズ・インフォマティクス領域での事業展開を加速すると発表した。
マテリアルズ・インフォマティクスとは、材料開発において実験や分析で得られたデータをAIや統計解析などで活用し、新材料の探索や実験条件の最適化を効率的に行う手法のことだ。
■山梨大学に納入済み
今回開発したシステムは、複数の分析・計測装置とソフトウェアを連携させ、触媒材料開発における実験を自動化するものだ。取得したデータを統合・解析し、より効果的な次の実験へとつなげるサイクルの確立をめざしている。
具体的には、半世紀にわたり自動車業界で培ってきたノウハウをもとに開発した独自のデータマネジメントシステム「STARS Enterprise」と、試料搬送機構・粒子径分布測定装置・自動焼成装置などを連携させた。試料の搬送から測定、データ管理までの実験プロセスを自動化するこのシステムは、2025年3月に山梨大学の「水素・燃料電池ナノ材料研究センター」へ納入された。
■開発の背景
次世代自動車の動力源として期待される燃料電池の性能向上には、電極に塗布される触媒材料の評価や最適条件の探索が欠かせない。触媒の調合・混合・塗工・乾燥などの工程では、温度・湿度・時間などの条件が最終的な性能に影響するため、理想的な条件を導き出すには多くの実験を繰り返す必要がある。
一方、研究開発現場では複数の装置を使い分けており、装置ごとに操作方法やデータ管理方法が異なるため、多くの時間と手間がかかることが課題となっていた。
■今後の展望
今後はAIを活用して取得データから次の実験条件を自動で探索する機能や、他社製品を含む分析・計測装置を統合的に制御するオーケストレーション機能の拡充を進める。将来的には燃料電池用触媒にとどまらず、さまざまな先端材料の研究における実験自動化へと展開する方針だ。
システムの詳細は、2026年9月2日から4日まで幕張メッセで開催されるアジア最大級の科学・分析システム展「JASIS 2026」にて初公開される予定だ。




