MS&ADインシュアランスグループのMS&ADインターリスク総研は、自家用車を保有し日常的に運転する1000人を対象に、災害時の自動車による避難に関する意向やリスクの認識についてアンケート調査を実施した。6種類すべての災害で自動車による避難を希望する人は約4割に達した。
調査は2026年7月2~6日にインターネットで実施した。回答者は男性751人、女性249人の計1000人。公共交通が不便で、自家用車がないと買い物や通院などの日常生活が困難な地域の500人と、鉄道やバスなどが充実し、自家用車がなくても日常生活に支障がない地域の500人を対象とした。
●約4割が全6災害で車避難を希望
調査では、大規模な火災、高潮、土砂災害、洪水、津波、地震の6種類について、自動車で避難したいかどうかを聞いた。その結果、6種類すべてで自動車による避難を希望した回答者は387人と、全体の約4割を占めた。災害の種類を問わず、自動車で避難したいと考える層が一定数存在することがわかった。
●なぜ車を選ぶのか
自動車で避難する際の移動面でのメリットとしては、徒歩よりも早く遠くへ移動できることや、必要な物資を運べることが挙げられた。また、車中泊については、周囲に気を遣わずプライバシーを確保できることや、エアコン、充電環境を利用できることなどがメリットとして評価された。
●避難先の問題
いっぽう、自動車で避難したいと考えていても、避難先まで具体的に想定できているとは限らない。
6種類すべての災害で自動車による避難を希望した387人のうち、半数近くが避難先として「避難所」を想定していた。MS&ADインターリスク総研は、想定する避難所が車両の受け入れに対応していない場合、混乱が発生することを懸念する。さらに、この387人の2割超は、避難先を「なにも想定していない」と回答した。
能登半島地震(2024年)
●リスクを知っていても選ぶ
自動車避難に伴う危険についても、多くの回答者が認識していた。道路の混乱や冠水などによって避難が困難になるリスクのほか、車中泊による健康被害、緊急車両の通行を妨げるおそれなどだ。
それでも回答者のおおむね半数超は、自動車による避難のメリットには、こうしたリスクを上回る価値があると考えていた。MS&ADインターリスク総研は調査結果について、災害時の自動車による避難が「リスクを認識しつつも、なお選択されやすい行動」になっていると分析している。
●自治体方針の確認不足
自治体が指定する避難場所・避難所や、そこへ向かうために奨励されている方法については、「確認したことがない」と「今後も確認しないと思う」を合わせると48.6%だった。また、自動車による避難について、自治体がどのような方針を定め、どのような措置をとっているかについて「わからない」とした回答者は57.3%に達した。
内閣府の「避難情報に関するガイドライン」では、自然災害に対して行政に依存し過ぎず、自らの判断で主体的な避難行動をとる必要性を示している。いっぽう、自動車による避難については、移動中に洪水などに見舞われたり、渋滞を発生させたりするおそれがあることにも留意するよう求めている。
今回の調査からは、自動車避難の利便性を評価し、そのリスクについても認識している人が多いいっぽう、自治体の避難方針や避難先を十分に確認していないケースも少なくない実態が浮かび上がった。




