【ランボルギーニ レヴエルトSV 新型試乗】タイヤの存在すら感じない加速、ハイブリッド時代の「SV」の官能性とはランボルギーニ・レヴエルトSV(4WD/8AT)【海外試乗記】
ランボルギーニの歴史において「SV」の2文字は特別な意味を持つ。その称号が与えられた、ハイブリッドの最新マシン「レヴエルトSV」の走りやいかに? イタリアのテストコースで試乗した西川 淳がリポートする。
ランボルギーニの“全部入り”
レヴエルトSVは、スタンダードモデルのレヴエルトを単に速くしただけのモデルではない。V12+電気モーター&バッテリーのプラグインハイブリッドという新世代ランボルギーニの心臓をベースに、空力からシャシー、ブレーキ、タイヤまで、サーキット走行も見据えて磨き上げた、全方位の高性能バージョンであり、今サンタアガータが提供しうる最新テクノロジーのショーケースでもある。
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2026年8月、モントレーカーウイークの「The Quail, A Motorsports Gathering」でレヴエルトSVはワールドプレミアされた。「ミウラSV」に始まる“Sヴェローチェ”の系譜に連なる最新モデルである。自然吸気6.5リッターV12エンジンに3基の電気モーターを組み合わせる基本構成はレヴエルトと共通だが、システム最高出力は1015PSから1065PSへと高められ、0-100km/h加速は2.4秒、最高速は345km/hと発表された。生産台数はランボルギーニの創業年にちなみ、1963台の限定だ。
冒頭にも記したとおり、SVの本質は数字の上乗せだけではない。ダウンフォースを大いに高めた空力、GT3由来の調整式パッシブダンパー、次世代カーボンセラミックブレーキ、専用開発のブリヂストンタイヤなど、走りの密度を高めるための変更は広範囲に及んでいる。サンタアガータもこのクルマを、一過性の限定バージョンではなく、「Super Veloceの思想をハイブリッド時代へ展開した記念すべき存在」と位置づけた。

テストは特別なステージで
問題は、それが運転席でどう感じられるかだろう。出力の増したモーターの瞬発力はV12の伸びやかな官能を助けているのか、それとも性格を変えてしまったのか。伝統のSVを名乗るに足る鋭さ、そして電動化時代のランボルギーニにふさわしい刺激は、ドライバーにどのように伝わってくるのだろうか……。
プロトタイプながらそのステアリングを握る前に抱いた関心は、まさにそこにあった。ところはナルド・テクニカル・センター。ポルシェエンジニアリングが所有するプルービンググランドだが、フォルクスワーゲン グループはもちろん、世界のブランドが開発拠点の一つとして活用している。私が赴いた日にはフェラーリも面白そうなマシンを走らせていた。
ランボルギーニの招待状には、「レヴエルトPMプロジェクトのプロトタイプテスト」と記されていた。届いたのが2026年5月頭のことだったから、まだ車名は明らかではなかったのだ。けれどもそれがSVであろうことは容易に想像がついた。サンタアガータが歴代のSVを紹介する広報キャンペーンを打っていたからだ。彼らがヘリテージに言及するとき、近い将来、それに関連した最新作がデビューする、というのが最近の傾向でもあった。
ナルドといえば直径4kmにも及ぶ巨大な高速リンクが有名だが、(発表前で)カムフラージュラッピングされたレヴエルトSVは、一周およそ6.2kmのハンドリングサーキットに並べられていた。
モントレーにも姿を見せた2トーンのレヴエルトSVが、ランボルギーニのデザイン部門のボスであるミッティア・ボルカート氏の手でアンベールされたあと、カムフラージュ個体に乗り込む。まずはテストドライバーを隣に乗せて、ローンチコントロールを使った加速テストだ。

まるでリニアモーターカー
左足でブレーキをしっかりと踏みこみ、アクセルもフルに開けて、左足をサッと解放する。するとどうだ、派手なタイヤのスキール音とともに……。
驚いた。ギュッと鳴いたかと思うと、スリップもなく“ぶっ飛び出した”。タイヤの存在すら感じない。まるでリニアモーターカーのように空気を割きながらフラットに突き進む。何が起きているのか、呆然としてしまうほどの加速である。
次に現行型のレヴエルトに乗り換えた。サーキットテストだ。プロの駆る「テメラリオ」に張り付いて走る、というわけで、これなら初めてのコースでも不安はない。
スタンダードのレヴエルトは、依然、超一級のスーパースポーツだ。とてつもなく速いという実感は未だ変わることがない。加減速の質感も高く、すべてにおいて洗練されている。どんな領域においてもスムーズに動き、気がつけばとんでもない領域でドライブする自分がいる。
ナルドのハンドリングコースは、路面の荒れた、スタンドのないサーキットだ。プルービンググラウンドなので、気持ちよく駆け抜けていけるコーナーなんてものは少ない。連続するコーナーはどこか意地悪に繋がれていて、ドライバーもクルマも負担を強いられる。レヴエルトでなければ、攻めあぐんだに違いない。
3ラップを精一杯に走り終えた。それでもうっすらとしか汗をかかないのがレヴエルトというクルマの真骨頂だ。どこまでもクルマが優っている。オーバー1000PSに自由を与えるというのだから、当然だろう。

楽しいと思える超高性能
スタンダードモデルの未だトップレベルに高い完成度に、SVへの期待は否応にも高まった。と、同時に不安にも駆られる。さらにこの上をいくSVって、いったい何なんだろう? 本当に必要なのだろうか?
ふたたびカムフラージュのSVに乗り込む。走りだしてすぐに、スタンダードモデルより強固な一体感と確かな信頼感を抱いた。すべてを思いどおりにこなせる妙な自信、とでも言おうか。言ってみれば“超一級のスーパースポーツ感”をものの数秒で体感していた。
ドライブモードは追加になった「レース」だ。スタンダードに比べると、シフトアップのダイレクト感が明らかに増している。コーナーがさっきよりも随分と早く迫ってきた。それでもクリップポイントへノーズを向けることはたやすい。新開発ブレーキシステムのコントロール性が素晴らしいからだ。実際にドライブしてみれば鼻先が短くなったように感じた。鼻先だけじゃない、ひと回り小さいスーパーカーをドライブする気分だった。
エアロダイナミクスの向上によって、高速域のドライブフィールはまるで別物に変わっていた。5速での高速コーナリングなど、安定感の高さには目を見張るばかり。路面に食らいついてはなれようとしないマシンを御す楽しみもあった。ちなみにストレートエンドではスタンダードより10km/h速く、298km/hを記録。確かに速いのだ。
モーター出力の増したSV。けれども依然としてV12エンジンが主役である。むしろより力強く回っているようにさえ思う。何より高回転域でのサウンドがいっそう官能的になっていた。それゆえ、信じられないパフォーマンスを実感しつつ、自分で操作しているという感覚は、スタンダードよりはるかに強いものだった。
(文=西川 淳/写真=アウトモビリ・ランボルギーニ/編集=関 顕也)

テスト車のデータ
ランボルギーニ・レヴエルトSV
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4944×2038×1161mm
ホイールベース:2779mm
車重:1772kg(乾燥重量)
駆動方式:4WD
エンジン:6.5リッターV12 DOHC 48バルブ
モーター:永久磁石同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:825PS(607kW)/9250rpm
エンジン最大トルク:725N・m(73.9kgf・m)/6750rpm
フロントモーター最高出力:--PS(--kW)
フロントモーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
リアモーター最高出力:--PS(--kW)
リアモーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
システム最高出力:1065PS(783kW)
システム最大トルク:1425N・m(145.3kgf・m)
タイヤ:(前)265/35ZR20 99Y/(後)345/30ZR21 111Y(ブリヂストン・ポテンザ レースR)
燃費:--リッター/100km
価格:--万円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター






