9月8日、GMO AI&ロボティクス商事が「ヒューマノイド救急車」の発表を行った。ヒューマノイド救急車は、同社が提供するサービスロボットの修理保守などを現場で行うための専用車両だ。当面は都内を中心にサービスを展開する予定。
発表会では、ヒューマノイド救急車のお披露目、同社の新サービス発表に加え、代表取締役社長 内田朋宏氏による事業戦略、8月に北京で開催された「世界人型ロボットスポーツ大会(ロボット運動会)」の参加報告などが行われた。
発表内容から、ヒューマノイド市場の現状を考える。
◆二次開発で日本のロボティクス市場を加速する
フィジカルAI、ヒューマノイド(人型ロボット)は、いわゆるFA分野の産業ロボットとは違う市場を形成しようとしている。その適用範囲はエンタメ分野だけでなく、物流事業にも広がっている。自動車メーカーを含む製造業分野では、人型への評価が分かれるところだが、ラインでの協働ロボットへの注目が高まっている。
GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は、インターネットプロバイダー、セキュリティベンダーなどを擁するGMOグループの一員で、主に市販ヒューマノイド・ロボットの代理店販売、顧客向けロボティクスソフトウェア開発(二次開発)を含む導入支援を展開する企業。メーカーではなくシステム構築を含む技術商社という位置づけだ。ヒューマノイド救急車は、販売製品の修理保守サービスとして導入された。
車両はフィアットの商用バン『デュカト』(右ハンドル仕様)を改装したもので、内部にはストレッチャーと診察台が設置される。医療機器の代わりに測定器や工具、消耗品、予備パーツなどが搭載される。ロボットの保守作業のための床固定式の小型クレーンも見える。

稼働中のロボットが故障したり壊れたりした場合、この車両が専門スタッフとともに駆け付け、現場での修理、またはラボに持ち帰っての本格的な修理に対応する。現場対応が困難な場合は、代替機体の提供サービスもあるという。
内田社長は、同社のミッションとして「我々のビジネスモデルはヒューマノイド商社となっており、世界中の優れたG1のAI機体を調達し、提供していく。ただ販売するだけでなく二次開発も積極的に行っていく」ことを掲げた。

◆実証実験から実装フェーズへの布石とする新事業
GMO AIRを始めGMOグループは、空港グランドハンドリング(貨物積み下ろし運搬など)でJALと、四足歩行ロボによる駐屯地警備で陸上自衛隊と、化学プラントの危険作業で旭化成との実証実験、導入検証などを行っている。機体はUnitree G1やボストンダイナミクス Spotなどを扱っているが、自衛隊の事例は国産メーカーであるfuRoの機体を利用している。
今回は、救急車の他に、顧客ごとのデータ学習プラットフォーム(GMO Loop)、ロボット向けセキュリティソリューション(GMO SAFE)が発表された。上記実証実験の枠組みをビジネスとして実装してきたことになる。
日本でのヒューマノイド活用は限定的だが、内田氏によれば「売り上げ目標などは非公開だが、想定以上の手ごたえはある」とする。現状、ヒューマノイドを導入する場合、よほどの大手でない限り、業務の学習、データ収集のリソース(人員・環境)に投資はできない。自社開発はハードルが高いので、ロボットメーカーを頼ることになる。




