マーレ、大型電動トラック向け新型レンジエクステンダーをIAA Transportation2026で世界初公開へ…CO2を8割削減

大型トラックの電動化に向けたトータルシステムアプローチをさらに推進
大型トラックの電動化に向けたトータルシステムアプローチをさらに推進全 6 枚

自動車部品大手のマーレ(MAHLE)は、9月15日から20日にドイツで開催されるIAA Transportation(国際商用車ショー)において、大型電動トラック向けの新型レンジエクステンダーシステムを世界初公開する。

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ドイツ・シュトゥットガルトに本社を置くマーレは、現在道路輸送の主流であるディーゼルトラックからバッテリー電動トラック(BEV)への移行を加速させることを目指している。レンジエクステンダー搭載の電動トラックは、電動駆動システムの持続可能性と、内燃機関による柔軟性・航続距離を組み合わせた構成だ。これにより車両ライフサイクル全体の総所有コスト(TCO)低減を支援し、EUの新車CO2排出削減目標の達成にも貢献する。

マーレグループマネージメントボード会長兼CEOのアーント・フランツ氏は「高性能な電動化技術と量産対応製品により、さらなる成長を目指す」と述べ、今年のIAAを「電動化・高効率・経済性」をテーマに出展すると表明した。

■レンジエクステンダーシステムの概要

レンジエクステンダーシステムの主要コンポーネントである高電圧ジェネレーターレンジエクステンダーシステムの主要コンポーネントである高電圧ジェネレーター

新システムの主要コンポーネントである高電圧ジェネレーターは、コンパクトな内燃機関で駆動され、連続出力110kW・最大出力130kWを発揮する。新開発の高度なオイル冷却システムにより、1kgあたり7kWを超える高い出力密度を実現した。

システム全体は、ジェネレーター、内燃機関、熱・流体マネジメントシステム、燃料タンク、AdBlueタンク、排ガス処理装置を一つのコンパクトな「ボックス」にまとめた自律型ユニットとして設計されており、既存のBEVプラットフォームへの統合が容易だ。

このシステムはバッテリー容量を現在の約3分の1削減でき、後軸荷重を約400kg、車両総重量を約600kg軽減する。結果として、レンジエクステンダー搭載BEVトラックは総航続距離800km超を実現し、約400kmをバッテリー、残りの約400kmをレンジエクステンダーがカバーする。

実際の運行条件下でレンジエクステンダーを作動させた場合、CO2排出量は従来の駆動システム搭載トラックと比べて約80%削減される。さらにHVO100バイオディーゼルなどの再生可能燃料で内燃機関を運転した場合、CO2排出量は実質ゼロとなる。

マーレのコーポレートリサーチ&先端技術担当バイスプレジデントのマルコ・ワース氏は「レンジエクステンダーは、充電インフラの整備状況に左右されずにBEVトラックの市場導入を可能にする重要な技術だ」と強調した。

■MCT電動モーターも世界初公開

MAHLE の新しい MCT 電動モーターMAHLE の新しい MCT 電動モーター

IAAではもう一つの世界初公開として、大型商用車向け電動駆動アクスル用のMAHLEコンタクトレス・トランスミッター(MCT)電動モーターも披露される。このモーターは永久磁石を使用せず、レアアースを一切必要としない設計で、従来の永久磁石同期モーターと比べて車両あたり最大3kgのレアアース磁石を削減できる。

実走行条件で従来型モーターより約10%軽量で、最大出力370kW・最大トルク900Nm超(3900rpm)を発揮する。EUの燃費効率算定ツール「VECTO」サイクルにおけるモーター効率は約95%に達する。

■商用車事業の成長戦略

マーレは欧州において電動エアコン用コンプレッサーで欧州トップの市場シェアを持ち、電動ポンプおよび電動ファンでも市場上位3社の一角を占める。中国では主要トラックメーカーとの協業を通じて存在感を拡大している。

中型・大型商用車はマーレの自動車産業向け事業の約20%を占め、商用車・オフロード分野で120社を超える顧客と協業している。2026年上半期の商用車事業の受注は前年同期を大きく上回った。アーント・フランツ氏は「今後5年間で、商用車向け製品によって市場全体を上回る成長率を達成できると見込んでいる」と述べた。

一方で同氏は、欧州経済の低調な見通し、予測が難しい関税動向、北米での需要低迷、中国製品の流入による競争圧力など、構造的な課題にも言及した。

■再生可能燃料と政策の安定性も重要課題

内燃機関は世界の商用車において現在約83%を占め、2035年でも約73%にとどまる見通しだ。アーント・フランツ氏は「電動化に加え、HVO100やバイオLNGのような持続可能な燃料の供給を大規模に拡大する必要がある」と指摘した。

マーレはブラジルにグローバル・バイオモビリティセンターを設置し、バイオ燃料エンジンやマルチフューエルエンジンの効率最適化などに取り組んでいる。水素および水素由来燃料も重要な要素と位置づけ、欧州・アジアで大規模な開発プロジェクトを進めている。

アーント・フランツ氏は「かーボンニュートラルな道路輸送への移行は技術的に実現可能であり経済的にも達成可能だ。しかし産業界、政府、顧客が連携して行動することが不可欠だ」と述べ、欧州の大型商用車向けCO2フリート規制の客観的な見直しも求めた。

《森脇稔》

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