【W2RC 第3戦 アルゼンチン】三浦昂の走りに表れた進化、「OPEN COUNTRY」と成長の手応えをモロッコへ

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W2RC 第3戦『Desafío Ruta 40』(アルゼンチン)
W2RC 第3戦『Desafío Ruta 40』(アルゼンチン)全 69 枚

「自分ができるようになったっていうこと以上に、アルマンとのコンビネーションで、2人でこの車をこういうふうに持っていけた。その改善を日々感じることができたんです」(三浦選手)

アルゼンチンでの戦いを振り返る三浦昂選手の言葉には、前戦ポルトガルからの変化が表れていた。走り方を探りながらひとつひとつの操作を確かめていた段階から、目標を立て、試し、その改善をコドライバーと共有できる段階へ。三浦選手は今、最高峰のラリーレイドを戦うための手応えをつかみ始めている。

TOYOTA GAZOO Racing 三浦 昂選手TOYOTA GAZOO Racing 三浦 昂選手

TOYOTA GAZOO Racing(TGR)体制での2戦目、コドライバーのアルマン・モンレオン選手と共に挑んだ世界ラリーレイド選手権 第3戦「Desafío Ruta 40」(W2RC アルゼンチン) だ。第3ステージ終了時点では、総合トップ10に進出した。後半2日間は、車両のダメージとその対処に苦しみ、最終結果はリタイア。目標としていたトップ10フィニッシュには届かなかったがそこに至る過程には、ドライビング、コドライバーとの連携、そしてマシンとタイヤへの理解という、いくつもの前進があった。

第4戦「Rallye du Maroc」(モロッコ)を開幕目前に控えた今、アルゼンチンで何をつかみ、何を持ち帰ったのか。三浦選手の言葉から、その5日間をたどる。

走る時間そのものがコミュニケーション、改善を積み重ねる走りに変化が

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TGR移籍後の初戦となったポルトガルで、三浦選手は総合14位でフィニッシュした。最高峰のT1+マシン『DKR GR Hilux』の感覚を確かめながら、走りを組み立てた1戦だった。その一方で、クルマの乗り方もレースの戦い方も、それまでの経験とは大きく異なっていたという。

「何をどうしていいかっていうのが結構わからないというか、苦しい時間だったんですよね」(三浦選手)

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その状態を変えるきっかけになったのが、アルゼンチンに向けて行ったモロッコでの事前テストだ。レースでは順位や周囲のペースも意識しなければならないが、テストでは自分が定めた目標に集中できる。何を変えればどうなるのかを、1つずつ確かめる時間があった。

「自分がフォーカスした目標のためだけに走るっていうことを、1個ずつちゃんとできたんです。その中で、確実にタイムを上げられたとか、わからないことがわかったという感触があった。そういう意味では、きっとアルゼンチンではポルトガルの時からの変化をチームに見せられるだろうなという期待も持っていました」(三浦選手)

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出国前に腰を痛め、身体の状態には不安が残っていた。それでも、アルゼンチンで何に取り組むのかは明確だった。三浦選手は、レースを迎えるメンタルと集中力には手応えを感じていたという。

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その走りを支えていたのが、コドライバーであるアルマン選手の存在だ。経験豊富なパートナーのアドバイスを理解し、実際の走りで試す。その姿勢が実際の走りで伝わり、改善できた場面を2人で喜べるようになったことが、自信につながった。

「毎日一緒に走って、とても彼が嬉しそうにしてくれるんです。“今日のステージ、ここすごい良かったよね”みたいに楽しそうに話してくれるから、それがすごく嬉しかったし、自分にとってのモチベーションになりました」(三浦選手)

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言葉の壁はあっても、同じクルマで走る時間そのものがコミュニケーションになる。三浦選手が強く感じていたのは、自分1人の上達以上に、2人で走りを良くしていく実感だった。

「1日1日、小さい自信を積み重ねていける。もっとこうしたいという欲求もいっぱい出てきたので、すごくレースを純粋に楽しめたなと思います」(三浦選手)

総合トップ10に届いた前半戦、課題を突きつけられた後半戦

STAGE 1:テストで見つけた改善を、本番の走りに反映

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初日は、三浦選手自身が「無難に走り出せた」と振り返るスタートだった。現地でのシェイクダウンやテストで話し合った改善点を、本番でもすぐに実行できたことが大きかった。

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まだトップ勢と競り合う位置ではない。それでも、ポルトガルからの変化はタイム差にも表れ、チームが喜んでくれたことが三浦選手にとっても嬉しかったという。

「1日でこれだけ進化できたんだから、2日目、3日目、4日目とやっていけば、きっとレベルは格段に変えられるはずだ。そういうふうに信じて頑張ろうと思ったのが1日目でした」順位以上に、取り組んだことが走りに反映された。その実感が、翌日へ向かう気持ちを支えていた。

STAGE 2:プッシュしながら、自分の走りを客観視する1日

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第2ステージは走行距離が短縮された。今は少しでも多く走り、経験を蓄えたい三浦選手にとっては残念な変更だったが、その限られた距離の中でも得られたものがある。

攻めている最中にも、自分の走りを客観的に見れている。その感覚を、三浦選手は集中できていた証拠と捉えていた。ゴール後にはアルマン選手から、良い仕事ができたのだから自信を持つように、と伝えられたという。

翌日には砂丘が待ち、長いステージが勝負どころになる。そこで良いタイムを出し、成長を結果でも示したい。三浦選手は次の走行を楽しみにできる状態にあった。

STAGE 3:理想の走りで総合トップ10へ、得意の砂丘で見えた新たな課題

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第3ステージ終了時、三浦/モンレオン組は総合トップ10に進出。以前は遠く感じていたトップ10の位置に、日々の努力を重ねた成果が結果となって現れた。

「速さはまだ足りないですけども、ちゃんとミスなく走ればそういうところまで行けるんだっていうことを確信できました」(三浦選手)

アルマン選手も喜びを隠さず、三浦選手の中には総合シングル、つまり1桁順位でフィニッシュしたいという意欲も生まれた。同時にステージ3までの走行を経て、T1+で戦うための課題も明確になった。

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T2で走っていた頃、砂丘は三浦選手が得意としていた場所だった。しかし、T1+では走るラインも、タイムを稼ぐ方法も大きく異なる。「違うレースを戦っているぐらい」と感じるほどで、本人によれば、序盤3ステージの中で最もタイム差が開いたのは、その砂丘だったという。

好きであり、自分の勝負どころにしたい路面だからこそ、T1+での経験を重ねて強みに変えていきたい。トップ10に届いた喜びと同時に、次に磨くべき走りも見えていた。

STAGE 4:相棒への申し訳なさが、焦りにつながってしまった1日

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第4ステージでは、腰の痛みが車に乗り込むのもつらいほど強くなっていた。万が一パンクしてもタイヤ交換が難しいと正直に伝えると、アルマン選手は、1人で作業するから心配しなくていいと答えてくれた。自分ができない時は三浦選手に任せるのだから、それもチームで戦うということだ、と。

ところが、スタート直後にパンクが発生する。気にしてはいけないと分かっていても、三浦選手には相棒への申し訳なさが生まれてしまった。

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「やっぱりそれを取り返さなきゃっていうふうに思って、ちょっと焦りが出たんだと思います」(三浦選手)

その後、見えない岩のようなものにヒットして車両前部を損傷。パーツ交換に手間取り、ステージ4を走り切れなかった。前日まで順調に総合トップ10へ進んでいたからこそ、悔しさと後悔は大きかった。

STAGE 5:最も感じた2人の一体感と、完走に必要な車両理解

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最終日に向け、三浦選手は「今日は今日だ」と気持ちを切り替えた。前日の後悔や焦りが走りに影響したことを踏まえ、この1日で進歩しようと考えたのだ。後方からのスタートでは、土埃で視界が悪くなることも想定される。それにもいらだたず、条件の中でタイムを落とさない工夫を考える。この気持ちの切り替えはうまくいき、序盤は順調だった。

「今までアルマンと走った中で、最も2人で一緒に走っているという感覚が強い1日になりました」(三浦選手)

しかし、手応えのある走りの中で、今の実力に対してプッシュしすぎたと三浦選手は振り返る。リアをヒットした際、パンクしなかったため大きな損傷ではないと思ったものの、足回りにダメージを負っていた。パーツ交換がうまく進まず、最終ステージも完走できなかった。

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ここで学んだのは、トラブルに対応するためには部品を交換する技術だけでなく、車両がどう進化してきたかまで理解する必要があるということだ。速さを求めて開発と改良を重ねるため、装着されている部品と車載のスペアが必ずしも同じ仕様とは限らない。その違いを理解して、現場で使い方を判断する力が求められる。

「車の成り立ちだったり、その弱点、強み、チームがどのような方針で開発を進めているのか。トータルで車の理解を深めないと、このラリーレイドには対応していけないんだなということを学びました」(三浦選手)

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同時に、走りの課題も整理できた。アルマン選手からは、うまく乗れている場面のスピードは悪くないと伝えられている。一方で、まだ経験の少ない高速域では、必要以上に減速してタイムを失っている可能性がある。データを分析し、リスクを増やさずに詰められる部分を見つけることが、次のステップになる。

マシンへの理解が深まり、新たに見えた「OPEN COUNTRY」の強み

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三浦選手の成長は、タイヤについて語る言葉にも表れていた。以前は、車両とタイヤの性能が自分のスキルよりもはるかに上にあると感じ、走って得た感触にも「本当にそうなのか」と迷いがあったという。アルゼンチンではT1+マシンへの理解が進み、装着するトーヨータイヤ「OPEN COUNTRY M/T-R」の特性を、より確かな感触として捉えられるようになった。

まず強く感じたのが耐パンク性だ。荒れた岩の路面もある中、ヒットしてしまったと思う場面でも、タイヤが耐えてくれたことが何度かあった。実際にパンクは経験しているが、そうした場面を通じて三浦選手は信頼を深めた。アルマン選手からも、パンクへの強さを評価する言葉があったという。

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「この競技って耐パンク性がすごく重要な要素を占めるんですけど、それはライバルメーカーと同等、もしくはそれ以上のところまで来てるのかなと思っています」(三浦選手)

縦方向のトラクションについても、従来から感じていた強みを引き続き実感している。さらに具体的になったのは、今後の性能向上に向けた話だった。

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パワーがあり、速度も高いT1+マシンでは、コーナーでしっかり向きを変えてから、そのトラクションを生かしたい。ところが路面によっては、車が曲がるまで待つ必要がありその段階でアクセルを踏んでも横に逃げてしまうという。

三浦選手が求めているのは、ターンインでのグリップと、立ち上がりでのトラクションの良さを、さらに高い水準で両立することだ。背反する性能を良くする難しさも理解したうえで、バランスを詰める余地を感じている。

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「このOPEN COUNTRYも、まだまだ進化の途中じゃないですか。そういう意味では、もっと上を狙えるポテンシャルがすごくあるタイヤだと感じています」(三浦選手)

走りの精度が上がるにつれ、タイヤのどの性能が助けになり、どこをさらに伸ばしたいのかも明確になる。三浦選手とOPEN COUNTRYがともに先へ進むうえで、大きな開発の手助けになるだろう。

確かな手応えとともに第4戦のモロッコへ、この経験は未来への投資に

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アルゼンチンを終えた三浦選手は、後半2日間への悔しさを隠さない。あの時こうしていれば、トラブルを避けられたのではないか。そうした後悔も残っているという。それでも、挑戦を続ける中で経験を蓄える今だからこそ、この1戦を次につなげたい。

「これが将来のための投資になったって思えるように、頑張るしかないかなという感覚です」(三浦選手)

その次の舞台となるモロッコは、三浦選手がラリーを学んだ「第2の故郷」のような場所だ。コースにも馴染みがあり、シリーズの中でも特に楽しみにしている大会だという。

TOYOTA GAZOO Racing 三浦 昂選手TOYOTA GAZOO Racing 三浦 昂選手

モロッコ戦で取り組むテーマは、速さを求めながら、走りの確実性も高めること。これまではまず速さを追ってきたが、次は車両を壊してしまう限界を越えず、どこまでペースを引き上げられるかを探る。年末のダカールラリー2027が近づく中、今の自分の実力でどのように走るのが最も良いバランスなのか、その戦い方をつくっていく。

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三浦選手が目指すのは、アルゼンチンで果たせなかった総合トップ10でのフィニッシュ。その実現に向けて大切にしたいと語るのが、順位へのプレッシャーよりも、目の前の1日に集中することだ。

「順位をプレッシャーに感じるんじゃなくて、毎日を、当たり前のことなんですけど、大事に、やるべきことをしっかりやる。そのマインドセットも重要かなと思っています」(三浦選手)

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モロッコでのテストを通じて課題に取り組み、アルゼンチンではアルマン選手と改善を重ね、総合トップ10に手をかけた。その過程でつかんだ速さを、今度は最後まで走り切る力へ。三浦選手とOPEN COUNTRYの挑戦は、本日9月28日より開幕する第4戦「Rallye du Maroc」(モロッコ)へ続いていく。

TOYO TIRES『OPEN COUNTRY』の製品ラインアップはこちら《取材協力:トーヨータイヤ》

《後藤竜甫》

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