【スズキ ジムニーノマド 新型試乗】ノマドに乗るならやっぱり「ATがオススメ」な理由…中村孝仁

スズキ ジムニーノマド AT車
スズキ ジムニーノマド AT車全 37 枚

試乗会で『ジムニーノマド』に乗ったのは、オフロードをAT車、オンロードではMT車に試乗した。MT車では、何となくもやもやとしたものがあったので、改めてAT車でオンロードを走ってみた。

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試乗会の折、「乗っていないので不明だが、オンロードにおけるAT車は4速がオーバードライブ仕様になっている。ギア比は0.696。これだと例えば高速などでもだいぶエンジン回転を落として走れそうだから、長距離移動の多い人は、ACCの存在も含め、ATがお勧めのような気がした」と書いた。その実態はどうかというと、少なくとも高速におけるAT車のフィールはとてもよく、それに燃費もどうやらオーバードライブレシオが付くおかげで、ATの方がよさそうである。

スズキ ジムニーノマド AT車スズキ ジムニーノマド AT車

◆シエラ+100kgでも、巡航速度ならハイペースで走れる

車両をお借りしたのは9月。ご存じの通り、今年の9月は少なくとも東京では丸々30日間雨が降り続いた。しかも、千葉では雨による災害が8月以降3度も発生し、いたるところで道路が寸断されていた。わざわざそんなところに行かなくてもよいのに……というところではあったのだが、どうしても用事があって、その千葉で今回試乗した走行距離の半分以上を走った。

4輪駆動の威力を存分に発揮したかというと、実はそれほど酷い状況のところは走らなかったので、一度は4Hのモードに入れてはみたものの、その必要はなかった。ただし、千葉を主として南北に貫く、圏央道から見た景色は、いたるところで土砂崩れがあったし、ジャンクションは、走行可能な車線を残してまだ泥に覆われていたから、その惨状はかなりのものであった。

ジムニーノマドは基本『ジムニーシエラ』のメカニカルコンポーネンツを使用しているが、車重はシエラよりも100kg重い。というわけなので、パフォーマンスに関しては端から期待しない方が良いのだが、どっこい、いわゆる巡航速度に達すれば結構なハイペースが保てることが分かった。

◆ステアフィールの良し悪し

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だが乗り出してすぐに、ステアリングの重さが気になった。いつも書くことだが、人間は、相対評価しかできないから、どうしてもそれまで乗っていた車に印象が左右されてしまう。前車がノンパワーステアリングのクルマだったりしたら、評価も変わったのだろうが、直前まで乗った車は最新のメルセデスベンツであったから、どうしても重く感じてしまったのだろう。と言っても、およそ1週間試乗して、最終的な結論としては、やはり少々ステアリングは重いと思う。ただ、重いとは言え操舵感はとても良い。

近年、高速道路は上限スピードが120km/hになっているケースが多い。そんなわけだから、高速移動の場合はどうしてもそのスピードに応えて欲しいのだが、正直言えばノマドの場合、少々心許ない。元来オフロードを想定したステアリングの味付けだから、ステアフィールが良いと書いたのは、そのオフロードを前提とした場合の話である。だから、オンロードでは中心付近の遊びが大きく、かなりルーズであることは否定できないのだが、逆にそのおかげで、通常はステアリングに神経を使う必要がない。ただし、高速ではあくまでも、80km/h程度のスピード域までの話である。

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このスピードで高速をのんびり流すと、実に平和である。元々少しギアノイズが室内に侵入するので、静かな空間ではないが、MTで体験した比較的大きめなエンジンノイズの方は、ギアリングのおかげもあって、十分に抑え込まれている。これが100km/hになると、少々気を使う。というのも、オフロード仕込みのルーズなステアリングは、路面の状況によって、いつの間にやら進路が乱されるというケースが多いからで、修正舵を充てる必要があるから、必然的に直進を保つのに気を使い、かなり忙しくなるのである。これが120km/hになると、ドライバーはそれこそ真剣に、ステアリング操作をしなくてはならなくなり、走行そのものに神経を使うことになる。

◆スタイルで選ぶ人ならATがお勧め

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この件を除けば、ノマドの走りは個人的には好ましい。この部分は、オフロード車が好きか否かでかなり意見は分かれると思う。ホイールベースが長くなって、重量も増した分、乗り心地は快適である。それも、結構締め上げられたリジットサスペンションが織りなすものだから、一般の人からみたら「乗り心地が悪い」となり、何も知らないわが女房に言わせると、乗り心地の結論は「否」であった。本当は好ましいのだが……。

4速のATはTバー型のレバーで親指部分にODのon/offボタンが付く。ちょっと先を急ぎたくて、加速したい場合など、思いっきりアクセルを踏み込むのではなく、ODボタンをoffにすれば一気に加速が始まる。

そういえば、停車まで効果のあるACCも試してみた。長距離の移動ではこれがあると無いとでは疲労が半減する。実際は車間を一番短くしても結構な距離を取ってくれる。半面割り込みの危険もあって、渋滞時は案外気を使うことになるのかもしれない。

硬派なオフロード志向の人でどうしても4枚ドアという人はともかく、そのスタイルに惚れて、時々キャンプ…という使い方のユーザーなら文句なくATがお勧めである。

スズキ ジムニーノマド AT車スズキ ジムニーノマド AT車

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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