日本各地で“音のプロ”、すなわち「カーオーディオ・プロショップ」が活躍している。前回からスタートした当連載では、今、そこにどんな“困り事”が持ち込まれているのか、そして“音のプロ”たちはそれらにどう答えているのかを明らかにしていこうと試みている。
今回は、福岡県粕屋町にて店舗を構える実力ショップ『エモーション』の橋本さんに話を訊いた。
◆実は今どきの若人は、良い音を聴き慣れている。その耳で純正の音を聴くと…
早速エモーションの橋本さんに、最近訊かれることが多い来店者の“困り事”は何かと訊ねると……。
「ご来店される方々の傾向は、2つに分かれます。1つは何らかカーオーディオを経験されていて現在の愛車の音をさらに良くされたい方、そしてもう1つは純正オーディオの音に愕然としてこれを何とかしたいとおっしゃる若い方、このいずれかです。
後者のパターンが増えてきた背景は以下のとおりです。まず近年は初めてマイカーを手にされる年齢が昔と比べて上がっています。私たちが若かった時代には就職するとすぐに給料の半分くらいをローンに当ててクルマを買いましたが(笑)、今の若い方々はそんな無謀なことはされません。じっくりと将来の収入までを見越して、あるいはある程度お金を貯めてからマイカー購入に踏み切られます。年齢でいうと20代後半から30代前半くらいの方々です。
そして、そのくらいの年齢の方々は実は、耳が肥えていらっしゃいます」
『エモーション(福岡県粕屋町)』にて製作されたオーディオカーの一例。
◆あたかも良い音であるかのような仕掛けやエフェクトが、状況を複雑化させ…
「というのも、そのくらいの年代の方々はかなり以前からストリーミングで音楽を聴かれていますが、今やストリーミングの音質はかなり良くなっていてその音に慣れていらっしゃいます。なのでマイカーを手にされて純正システムの音を聴くと、愕然とされるんです。純正カーオーディオの音は、年々悪くなっていますから。
なぜなら純正カーオーディオに対してはコストカットがかなり進んでいて、しかしそうであってもあたかも良い音が鳴っているかのようにするために、さまざまな仕掛けが盛り込まれたりサウンドエフェクトがかけられたりしています。それらはソフトウェアをいじれば良いので、大してコストはかかりませんから。
でもそれらは結局のところ音を悪くしています。そしてそのままの状態でスピーカーを換えてもアンプDSPを入れても音は良くはなりません。元が良くないままだからです。
またはロードノイズをキャンセリングする仕組みが投入されている車種も増えつつあり、そうであると音楽の中低音も痩せてしまいます。
結果、純正システムの音を“聴くに堪えない”と思われる若い方々が増えてきました」
『エモーション(福岡県粕屋町)』にて製作されたオーディオカーの一例。◆アンプDSPを追加し音楽プレーヤーを直接繋げば、音が良くない原因を排除可能に!
「その解決策は1つしかありません。それは、純正オーディオを使わないこと、これに尽きます。
具体的には、パワーアンプ内蔵DSPをシステムに追加して、それに音楽プレーヤーをダイレクトに繋げばOKです。こうすることで音楽を聴くときには純正オーディオを切り離せます。
また映像系コンテンツを楽しまれるときには映像信号は純正システムに入力しますが音声は分配してパワーアンプ内蔵DSPへと直接入力すれば、あるいはは車載用Android端末を純正オーディオにカープレイ接続し音声信号だけはそこからダイレクトにアンプDSPへとデジタル入力すれば、高音質にて映像系コンテンツを楽しめます。
悪いものを何とか良くしようとするよりも、それを排除することの方が合理的ですしシンプルです。純正オーディオは使わない、これがスタンダードになれば良いなと、私は常々思っています。
狙い目のパワーアンプ内蔵DSPは、Bluetoothモジュールを内蔵したもの、あるいはUSB DACを備えたもの、このいずれかです。前者ならスマホ等を便利に繋げられますし、後者ならお手持ちの音楽プレーヤーの音楽信号を高音質にて取り込めます」
エモーションの橋本さんから訊いた話は以上だ。これに興味を持った貴方は、行ける距離にあればぜひエモーションまで。悩みが解決するに違いない。




