【クルマ2000年問題 Vol. 1】ミレニアムの瞬間、クルマは走っていていいの?

自動車 社会 行政

2000年1月1日、午前0時の時報とともにあなたのクルマが暴走する……か、どうか、国産車メーカーと外国車メ−カ−日本法人、代理店に尋ねてみた。コンピュ−タ−が2000年を認識できずに故障が発生するいわゆる2000年“Y2K”問題である。現代のクルマは多数のコンピュ−ターを搭載してクルマを制御している。その瞬間、クルマにどのような問題が発生するのか、どのような対策が採られているのか。

まず各社広報を通じてリサ−チを始めて驚いたことがある。それは、これだけ話題になっている問題で期限まで半月余というのに、即答のできないメーカーがあったということ。中には問題が重大なだけに担当部署に質問をまわし、然るべき返答を用意するために時間がかかったというメーカーもあった。

●Y2K問題がクルマに発生するかどうか

現在までに返答が寄せられた範囲では1社を除いて「対処済み、問題無し」ということだった。若干具体的に答えてくれたのはスバルホンダで、「車載コンピューターにはカレンダ−機能がないので、Y2Kはそもそも発生しない」との返事だった。ポルシェは「年数カレンダ−機能は4ケタを用いているので問題無し」だ。アウディ日産は「基本性能に影響はない」と控えめなニュアンス。

ただし各社とも自社製品の純正部品についてのみ「問題無し」としており、ユ−ザ−が個人的に取り付けた社外品については、問題を把握できないし対処もできない、といっているので注意が必要だ。

●クルマのY2K問題は対策済み

各社(各車)とも問題がないので、0時の時点で走行中のクルマの何らかの機能をoffにするとか、一旦路肩に駐車して全機能を停止させるというような対策はユ−ザーに勧めていない。
また大晦日から元旦にかけて担当者が徹夜で待機するといった、ユ−ザ−向けの特別体制を敷いているところも少ない。クルマに問題がないので当然だ。シトロエンBMWプジョーボルボは通常の24時間サ−ビス体制で対応するという。なお社内インフラとしてのコンピュ−タ−・システムの問題に対処すべく特別体制をとるメーカーはある。たとえばジャガーは、システムの安定が確認されるまで、コンピュ−ターによる売買契約書の作成などは控えるようだ。

いっぽう「この世の誰も100%安全とは言い切れない」ので、プジョーはサ−ビス責任者を待機させ、通常の24時間サ−ビスと常に連絡をとれるような体制を整える。また「車両にY2K問題はないが不測の事態に備えて」日産は『お客様相談フリーダイアル(0120-315-232)』をY2Kに関する問い合わせに限って、31日夜から1日夕方にかけて開設する。

ちなみに三菱はY2K問題への対応費用を約12億4000万円と見積もっており、この費用が将来の事業運営や業績に重大な影響を及ぼすことはないと予想している。

●メルセデスベンツは個別に対応

「問題がない」と答えなかったのはメルセデスベンツ1ブランドだけ。各車種それぞれに問題と対応が異なるから、対外的な全社統一情報は用意していないとのことで、ユーザーは各自ディーラーなどに問い合わせてほしい。これはこれで真面目な対応ではある。

調査に協力してくれたのは、国産車がいすゞ、スズキ、スバル、トヨタ、日産、ホンダ、三菱、輸入車がアウディ、アルファロメオ、クライスラ−、サタ−ン、シトロエン、ジャガー、BMW、フィアット、フォ−ド、ボルボ、メルセデスベンツ、ロ−バ−の各社。その他のメ−カーからも返答が寄せられ次第、記事をアップデ−トしてゆく。

なおY2K問題に関して専用のサイトを設けているメーカーは以下の通り。シトロエンのように通常のニュースとしてY2K問題について触れているペ−ジもあるようだが、この問題についてはなるべく簡単にアクセスできるような構成が望ましいだろう。

さあ、純正以外の装備をoffにしておけば、除夜の鐘を聞きながらエンジン全開で愛車をぶっ飛ばせるゾ!! ……うーん、やっぱコワイ。各自の責任でどうぞ。

《高木啓》

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