ソニーは既存のMDメディアを2倍または4倍の長さで使えるMD長時間ステレオ録音(MDLP)に対応したカーオーディオを10月1日より発売すると発表した。そのカーオーディオは、1999年11月に発売した1DINサイズのFM/AMチューナ付MDヘッドユニット・MDX-G55に、MDLP機能を搭載したもので、新しい型式名は『MDX-G55MK2』となる。
MDLPは、これまでMDに使ってきた音声圧縮方式である“ATRAC”の約2倍の圧縮効率を持つ“ATRAC3”を音声データ圧縮方式に採用。録音時間80分のMDの場合では、4倍モードで録音すれば最長320分、2倍モードで録音すると最長160分の高音質ステレオ再生が可能となる。これによって、チェンジャーデッキなしでも最大で従来MD4枚分の音楽再生を楽しむことができることとなった。
独自開発のデジタルシグナルプロセッサーHX-DSPを採用し、音像をよりリスナーの前方・上方にクリアに定位させるDSO機能を搭載。さらに運転中でもボリュームなど、各種の調整がしやすい“ジョグローラー”を採用している。最大出力は45W x 4chとこれまで通り。
気になるこれまでのMDとの互換だが、ATRAC3で記録したMDはMDLP対応デッキでないと再生は出来ないが、MDLP対応機はすべて今までのMDが再生できるようになっている。いわば、“上位互換”という立場を採っているのだ。同時にMDLP対応のミニコンポやデッキを発売する予定で、MDLPによるMDはこれらのシステムを使うことで録音するものとなる。
MDLPはATRAC3を採用したということで、ソニーが既に発売している“ネットワーク・ウォークマン”などに採用した「OpenMG」に対応していそうな感じを受けるが、今回同時発売されたミニコンポやデッキには、これらを受け入れる端子は備えられていない。よって、MDLPは、当面、あくまでCDなどをそのままダイレクトに録音するだけのフォーマットと考えていいだろう。
■1DINサイズ FM/AMチューナー付MDヘッドユニット・MDX-G55MK2 7万円(10月1日発売)