裁判官の交代---「信用できない」と交通事故の被害者が要求

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裁判官の交代---「信用できない」と交通事故の被害者が要求
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交通事故で娘を亡くし、加害者に対して損害賠償を請求している奈良県の主婦が、大阪高等裁判所に対して「裁判官が公平とは言えず、不利益の生じる和解を強要され続けた」として、担当している裁判官の忌避を申し出ていたことが明らかになった。

「忌避」の申し出は民事訴訟法第37条に則ったもので、裁判官の判断が公平さを欠くと客観的に判断出来る場合、同条の規定によって担当裁判官の変更を申し出ることができるが、認められた例は少ないのが現状だ。

申し出の内容によると、この主婦は1997年に交通事故で死亡した娘の損害賠償を加害者側と争っていた。請求額1億円に対して、一審の大阪地裁では「被害者の運転する自転車に、無灯火で原付バイクを運転していた加害者が突っ込んだ」として、加害者側の過失を一部認め、3600万円の損害賠償を見とめている。しかし、双方ともこれを不服として大阪高裁に控訴したところ、今回の申し出に絡むトラブルが起きたという。

大阪高裁で担当となった裁判官は、加害者側との和解交渉の席上、被害者の名前を最低7回は呼び捨てにした上で、一審の判断についても「3600万円なんて金額は高すぎる。和解で決着しなかったら減額する可能性もある」と発言。一審で認定された被害者側の過失を無いものとして、さらなる証拠調べを求める原告側(遺族)に対しては「高裁はそういうところじゃないから。書面と和解交渉の態度だけで判断するの」と言い、判決での決着を求めると「和解交渉で成立させないと悪い条件になるかもしれないよ」と、しつこく和解での決着を求めたという。

判決の場合、その裁判官が「どうしてこういう判断に達したのか」ということを判決文に書く必要があるため、どうしても長文になる。しかし、和解の場合には条件の列挙だけという短い書類で済む。このため、多忙な裁判官が和解での決着を執拗に勧めるという事態は決して珍しくはない。だが、原告、特に交通事故で家族を亡くした原告にとっては冷たい態度と見られることが多いのが実状でもある。

今回の申し出でも、原告側は「遺族の悲しみが分からない人に裁判をしてほしくない。一審以上の審理もせず、ただ慰謝料が高すぎると言う理由は理解ないし、すでに公平な裁判とは言えないのではないか」と結論付けている。

《石田真一》

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