トヨタ『マークIIブリット』はマークIIのワゴンだ。先々代はセダン(ハードットプも含む)がモデルチェンジをしても継続された長寿モデルで、先代にあたる『マークIIクオリス』はFFの『カムリ』ワゴンをベースにしていた。なぜこのような変遷をたどったのか。
『マークIIブリット』の開発責任者、大橋宏チーフエンジニア(第1開発センター)は、市場からの要求の変化による、クルマ自体のコンセプトの違いをあげる。「ワゴンに対する要求は、クオリス当時はまず第一に実用性があり、それにマークIIならではの上品さを加えていました。ブリットでは走りに対する要求の方が大きくなっています」
もともと販売台数の少ないワゴンを、セダンと同時にモデルチェンジするのは開発費がかかり過ぎる。そこで当時アメリカで人気だったカムリ・ワゴンをベースに、FFとFRとの違いはあっても車体寸法やエンジン排気量の近いマークIIのワゴンを仕立てることは理解できる。そのころのFRシャシーは燃料タンクを後席後ろに配置していて、荷室を用意できなかったという事情もある。
その後、アメリカでのワゴン人気は下火になり、FRのプラットフォームも世代交代し、市場も「走り」を要求するようになり、このたびのFRマークIIワゴン復帰となったわけだ。