山梨県警は間違っている---息子を亡くした長野県警の元警部補が提訴

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1995年4月、山梨県内の中央自動車道で事故を起こしたクルマを目撃し、その救助に向かおうとした際、別のクルマにはねられて死亡した男性の両親が、警察を管理する山梨県を相手に1000万円の慰謝料を求める国家賠償請求訴訟を12日、長野地裁で起こした。

問題となった事故は1995年4月29日の夜、山梨県昭和町内の中央自動車道で発生した。当時26歳の男性が自分のクルマを運転中、道路上で白煙を上げて止まっている事故車を発見。道路脇の非常電話で日本道路公団に通報するとともに、自分のクルマに同乗していた友人に対して「ちょっと心配だから見てくる。そのまま待っていて」と言い、事故車に向かって歩いていった。ところがこの男性が事故車の横にたどり着くとほぼ同時に、後方から走ってきた大型トラックがこのクルマに追突。男性はクルマごと路上に押し出されて死亡したという。

この男性の友人らは山梨県警の取調べに対して「彼は“心配だから見てくる”と言い残して自分のクルマを離れた」、「事故車を見つけて非常電話を使い、公団のセンターに通報した」と供述したにも関わらず、後に山梨県警は「(この男性が)事故車に向かった理由がわからない」として、男性に過失があったかのような報告書を作成した。

当時、長野県警の警部補だったこの男性の父親は「災害救助中の事故だった」として、国に対して“警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律”に基づき、災害給付金の請求を行った。ところが山梨県警が男性の死を救助とは無関係としてしまったため、災害給付金の支給対象とはならなかった。

父親からの抗議により、山梨県警は当時の調書を公開したが、そこには男性の友人が「彼は無言で飛び出した」と供述したことになっていたという。また、事故の検分を行った高速隊の捜査員も「男性がどうしてそこにいたのかは被害者死亡につき不明」、「通報者は不明」として処理していたこともわかった。

このため、父親は「捜査に手抜きがあったとしか思えない。供述内容も警察の都合に合わせて改ざんされている」として今回の提訴を決断したという。

なお、この父親は男性の死後、警察の捜査体制に抗議する意味もあり、長野県警を依願退職している。

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《石田真一》

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