警官の発砲が適正だったか現時点では保留---警察庁が異例の判断

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警察庁は11日、今月9日に滋賀県大津市内で起きた警官の拳銃発砲による容疑者死亡事件について、拳銃使用が適正だったかどうかの判断を一時保留するという方針を示した。滋賀県警からの正式な調査結果の提出を待ち、再検討することになるとしている。

これは同日の定例記者会見の席上、警察庁の田中節夫長官が明らかにしたもの。今回の事件では滋賀県警の発表内容が二転三転し、警察内部からも警官の拳銃使用が適正だったかを疑問視するような声が浮上するようになってきたためだとしている。警察庁でも滋賀県警から事件の詳細をまとめた調査報告書が提出された段階で、改めて今回の射撃が適法だったのかを検討、その内容を後日発表するという方針を決めた。

凶悪事件が増加傾向にあり、警官が直接の被害を受けるケースも目立ってきたことから、警察庁では昨年12月に「警察官等拳銃使用及び取扱規範」を改正。凶器を振り回しているなど、職務を遂行するにあたり、その身に危険が生じると判断しうる場面に遭遇した際には、これまで定義されてきた威嚇発砲を行うことなく、容疑者に向けて直接発砲できるようにするなどの規制緩和を行った。

取扱規範では、容疑者の抵抗の度合いや、持っている凶器の種類などに応じ、発砲に至るまでの決断には80のパターンが決められている。しかし、非常事態だからこそ拳銃を使用する必要性が生じるのであり、発砲に至るまでの経緯を事件後、規範に照らし合わせるという運用形態になってしまっている。

今回の事件のように「車両が停止せず、周囲の人や物に衝突しながら逃走しようとした」というケースは、拳銃を予告なしに使用しても構わないケースとされている。つまりは規範中でも「発砲警告も威嚇射撃もいらない」と定義されているわけで、非常事態の上では比較的上位に位置するものだ。

しかし、滋賀県警は事件発生を公表した際、射撃警告を行ったことにこだわりをみせた。ただし、それが時間が経つにつれ、詳細が微妙に変化を遂げたことが問題なのだ。タイヤを狙ったという発表が数時間後に「クルマの後部を狙った」に変わり、1回言ったはずの「撃つぞ」が、次には「止まれ、撃つぞ」を3度繰り返したことに変わっている。

人間の記憶とはいい加減なものかもしれないが、当事者の証言が警察に有利なように変化したことは問題といえるだろう。

《石田真一》

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