死者に事故の責任を転嫁した罰、それは相場よりもはるかに高い賠償金

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赤信号を無視して交差点に進入し、バイクと衝突する事故を起こしたトラック運転手とその勤務先に対し、バイクに乗っていた男性(当時19歳)の遺族が損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は18日、異例ともいえる高額賠償を認める判決を言い渡した。

訴因となった事故は2000年6月に発生した。被告となった運転手は大型トラックを運転中、東京都江東区内の交差点で赤信号のまま進入、走ってきたバイクと衝突するという事故を起こした。事故はトラック運転手側の信号無視で起きたものだが、この運転手は事故直後から「参ったな、信号無視のバイクに突っ込まれちゃったよ」と責任を転嫁。被害者の救護活動も全く行わなかった。バイクに乗っていた男性は病院に収容されたが、およそ2時間後に全身打撲などが原因で死亡した。

警察の取調べの際、この運転手はバイク側の信号無視であることを強固に主張したが、その後に「トラックが信号無視をした」という目撃者が複数現れた段階で供述を一転、自分の信号無視を認めた。このため業務上過失致死罪に問われた刑事裁判では禁固1年2カ月の判決を受け、すでに刑期も満了している。

18日の判決で東京地裁の河辺義典裁判長は、今回の事故発生を「トラック側の信号無視という重大な過失によって発生した」と断定。さらに「運転責任を被害者になすりつけようと虚偽の供述を続けた行為、救護義務があるにも関わらず、現場では周囲の野次馬に自分の正当性を主張していた行為、事故後の補償問題があまりに不誠実であるという事実、これら全てが被告の態度を表している」として、約9000万円の賠償金支払いを命じた。

今回認定された賠償金の中には、遺族に対しての慰謝料3000万円が含まれているが、これは独身男性が悪質な事故で亡くなったケースとしては最も高い。通常であれば2000万円程度が慣例とされているが、今回は事故が特に悪質であることなどを考慮し、裁判所が勘案したようだ。

もちろん相場以上の金額であるということから、被告側が控訴に至ることは充分に考えられる。ただ、高裁も最近では高額賠償を認める方針となっており、この一審の判断が覆される可能性は低いだろう。

《石田真一》

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